研究課題/領域番号 |
20H02135
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
野崎 貴裕 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (20734479)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 力制御 / アドミッタンス制御 / バックドライバビリティ / ロボット / マニピュレータ |
研究実績の概要 |
本研究では基礎部において力情報を取得するという本手法の有用性を新たに開発する油圧駆動マニピュレータに実装したのち、把持操り作業を伴う実タスクを対象とした実証実験を実施し、その実用性を明らかにする。本研究期間ではこれまでに培ってきたロボットアームの制御技術と油圧駆動建設重機の制御技術とを基盤として、新たに提案する接触部位および接触力の測定手法を統合し、高減速駆動マニピュレータならびに油圧駆動マニピュレータの柔軟な力制御を実現する。本研究目的を確実に達成するため、本研究では四年間の研究期間を三つの小期間に分割するとともに各期間に小目的を設定し研究を遂行する。 本年度は研究計画第一期 (2020年4月~2022年3月)に該当し、「A. 接触部位/接触力算出の基本原理の確立」に取り組んだ。外部の負荷力がマニピュレータに印加されると、基礎部に搭載された多軸力センサではx、y、z軸の各軸方向の力および各軸まわりのモーメントが観測される。各軸方向の力とモーメントとの比率より、接触部位の算出が可能となるが、マニピュレータの自重ならびにダイナミクスが力応答値に悪影響を及ぼすことが予想される。そのため本研究計画第一期ではそれらの影響を測定し検証するとともに、接触部位の算出精度向上手法を検討した。本アプローチは、特定の姿勢において、接触点の候補が複数存在してしまう点が問題となる。しかし、今年度の研究の結果、2通りの解決策を提案し、その有用性を確認することに成功した。一つ目の解決策は、関節トルクの利用である。減速比が高いマニピュレータの場合、トルクを正確に推定することは困難であるが、おおよその値を検出することで接触しているリンクを特定することが可能となる。二つ目の解決策は関節角度の変動を利用する手法である。関節角度の変動が接触点の候補に与える影響を評価することで接触点を特性することが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2020年度後期から2021年度前期までの期間で開発予定であった外力印加装置の開発が概ね完了しているため。
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今後の研究の推進方策 |
人間は力触覚によって力加減を調節し柔軟に作業をこなしている。しかし、高減速比の機構を伴う従来の産業用マニピュレータや、油圧駆動の建設重機等では力触覚が感じられないため、力加減を調節できず、接触対象物を破壊する危険がある。本研究ではマニピュレータの基礎部に多自由度力センサを設置する手法により、堅牢かつ小型、安価な力情報の検出を可能とし、高減速駆動/油圧駆動マニピュレータによる柔軟な力制御動作を実現する。目的達成のため A. 接触部位/接触力算出の基本原理の確立、B. 解が一意に求まらない場合の対応を行ったのちC. 3リンクマニピュレータによる把持操り作業の実現を実施し、本手法の有用性を確認する。2021年度前期には外力を印加するための装置の開発を完了し、2021年度後期には自重及び動力学的影響の補償に取り組む。
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