研究課題/領域番号 |
20H02136
|
研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
杉元 紘也 東京電機大学, 工学部, 准教授 (60613552)
|
研究分担者 |
高村 陽太 東京工業大学, 工学院, 助教 (20708482)
朝間 淳一 静岡大学, 工学部, 准教授 (70447522)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ベアリングレスモータ / 磁気軸受 / 高速モータ / 反磁性体 / 低損失 |
研究実績の概要 |
1軸制御形シングルドライブベアリングレスモータについて,研究代表者が提案している急加速によりタッチダウンせずに危険速度を通過する新しい方法を用いて,1軸制御形で世界最速の30,000 r/minまで加速し,安定に浮上回転させることに成功した。一般的には,危険速度での振動を抑えるため,パッシブに安定する半径方向および傾き方向の剛性を高く設計するが,提案構造は剛性をあえて低く設計することで,振動の小さい低速域で危険速度を通過できるように設計している。従来の高速モータの設計とは逆の発想で,剛性を低くすることが1軸制御形ベアリングレスモータの高速化実現の鍵であることを世界で初めて実証した。 提案構造の突極形反磁性グラファイト板回転子を用いたベアリングレスモータは,グラファイト板単体で浮上力とトルクを発生可能であり,初年度に浮上力およびトルクを計算する理論式の構築を行った。グラファイト板回転子を突極構造とし,グラファイトの突極部分と空気の部分の磁束密度を変化させることで,磁性体の回転子とは逆に,磁束密度の高い方から低い方に電磁力が発生し,結果的に回転トルクが発生する原理を明らかにした。実際に,実機の加速および減速波形から推定したトルクと計算トルクを比較した結果,おおよそ一致することが分かり,提案したトルク式の有効性を確認することができた。 本研究の成果は,IEEE関係の国際会議ICEMS2020や電気学会の全国大会で発表した。また1軸制御形ベアリングレスモータの危険速度通過に関する論文がIEEE Transactions on Industry Applicationsに掲載されることが決まった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1軸制御形ベアリングレスモータは,目標の30,000 r/minでの安定な浮上回転が実現できたため,磁気支持損失を測定するための準備が整いつつある。また,反磁性グラファイト板を用いたベアリングレスモータは,基礎的な理論構築と実験結果の比較を行い,理論の妥当性を確認することができたため,概ね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度は,1軸制御形シングルドライブベアリングレスモータの試作機を世界最速の30,000 r/minで浮上回転させることに成功したため,2021年度は負荷試験を行い,損失測定および損失発生メカニズムの解明を行う。また,2020年度に突極形反磁性PG板回転子を用いた5軸受動安定形ベアリングレスモータを提案し,浮上力およびトルクの発生原理を明らかにし,突極形PG板に発生する浮上力およびトルクの理論計算法を確立したが,一方トルクが1.13μNmと非常に小さいことが明らかになったため,2021年度はトルクを向上した新構造の試作機を製作し,実機検証を行う。
|