研究課題/領域番号 |
20H02146
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
戸村 崇 東京工業大学, 工学院, 助教 (10803992)
|
研究分担者 |
坂本 啓 東京工業大学, 工学院, 准教授 (40516001)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | リフレクトアレー / アンテナ / 展開アンテナ / 折り紙 |
研究実績の概要 |
本研究では折り紙技術による小型収納・大型展開可能な膜をアンテナにし,膜の機械的な欠点を電気的に解決することで,超高利得アンテナを実現する.展開後の膜には平面度が低い・折り目にアンテナが配置できないという二つの課題がある.能動素子で反射位相を制御しアンテナ自ら変形を電気的に補償する手法を確立する.折り目によるアンテナ配置の乱れを整える設計論を確立する.本研究課題は機械特性を電気的に補正する従来と逆のアプローチを取るものである. 本年度は能動素子による変形補償と小型収納・大型展開構造を検討した.能動素子による変形補償ではバラクタダイオードを搭載した反射素子を設計し,バラクタダイオードへの印可電圧で面外方向の変形を補償できることを確認した.小型収納・大型展開構造では2つの膜面を一定間隔を保って収納・展開できる機構を検討した.これらの成果より国際学会2件,国内学会4件発表した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた通り,能動素子による変形補償と小型収納・大型展開構造についての検討を実施した.結果として想定通りの成果が得られたため,本研究課題は概ね順調に進展しているとする.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として,非平面度の自己校正手法の確立と非周期アレー設計論を確立する. 非平面度の自己校正手法は電気的と機械的な2つの方式で取り組む.電気的なアプローチとして素子電界ベクトル法に基づく励振係数推定による自己校正法を確立する.既存の素子電界ベクトル法では移送量が既知及び能動素子が無損失と仮定としている.リフレクトアレーでは移送量を知ることができないため,印加電圧と移送量の関係をあらかじめ測定する.損失を考慮した定式化を行い,リフレクトアレーに本アルゴリズムを適用し,有効性を検証する.機械的なアプローチとして,ステレオカメラを用いた形状推定に基づく自己校正法を確立する.軌道上においてステレオカメラを使用し膜面形状の推定を行い,平面からの変位量より各素子の印加電圧を決定する. 膜面アレー上に特徴点を貼付し,衛星カメラから撮影する.小型カメラと広角レンズを用いた小型形状計測システムを衛星搭載可能な機器として開発する. 非周期アレー設計論として,非周期構造を解析できる手法を確立する.また,周期の乱れによる各素子の励振係数や相互結合の変化を定量的に解析し,それを補正する反射素子形状を設計する.さらにモーメント法に全領域基底関数を組み込み,解析の高速化を図る.精度は悪化するが未知数を大幅に低減でき,アレーアンテナ全体の構造で最適化が可能となる.折り目パターンを考慮したリフレクトアレーを設計し設計論の妥当性を評価する.
|