研究課題/領域番号 |
20H02150
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長谷川 浩 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40323802)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フォトニックネットワーク / ネットワーク制御 |
研究実績の概要 |
廉価な光スイッチによりルーティングされるネットワーク上で、広い周波数帯域を占有する次世代光パスを通信需要変動に応じ動的に運用した場合の特性評価を実施した。比較的狭い周波数帯域の占有に留まる従来型光パスに比べ次世代光パスは動的運用時に特性が劣化することは明らかであるが、特に光スイッチによりルーティングされるネットワーク上での劣化が大きいことが明らかとなった、光スイッチ設定を整数線形計画法で最適化した場合でも劣化幅は50%前後に及ぶ。一方、光スイッチを用いたルーティングは、現状の波長選択スイッチを用いたルーティングと比べ損失や劣化が少なく、また装置コストに優れる優位性が有り、このトレードオフを評価すること、また光スイッチによるルーティングの性能劣化を抑制するための手法の評価が重要といえる。今回の結果は、性能劣化のベースラインを示すもので有り、ネットワーク内に劣化補償の追加的機能が必要であることを示したものと言える。 また、ネットワーク中で、2つの部分ネットワークが疎に接続している場合、その接続部分をグラフのカットセットおよびそれを横切る通信需要から特定する手法を編み出した。接続部分の容量がネットワーク全体の容量のボトルネックと言えることから、ボトルネック部分の容量を効果的に増加させる必要があり、具体的な手法については令和3年度において検討を進める。 その他、超大容量ネットワーク高信頼化の検討などを進めた。 これらの成果については令和2年度末の国内会議で発表し、また国際会議へ投稿済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初より目指していた部分ネットワークへの分割とそれに基づくネットワーク設計・制御については着実に進展しており、既に基礎的な検討が進み、かつネットワーク容量増大の方策が生み出されている。一方、次世代光パスの動的運用や光スイッチを用いたルーティングなど、新たな内容も追加的に検討し成果を得ていることから、概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
廉価な光スイッチを導入しルーティングを行うネットワークは、最終的な研究目標を達成する上でのネットワークアーキテクチャとして有力な候補となり得るが、令和2年度の検討によりその潜在的な問題点が明らかとなったことから、その問題点を克服する検討を推し進める。具体的にはネットワークの残余容量を推定する手法及び残余容量をネットワーク再構成により最大化する手法の開発である。前者については強化学習を導入した評価法、後者については選択肢の効率的な探索を実現するための発見的手法の導入が有効と見込んでおり、実際のネットワークを模擬した数値シミュレーションによる詳細な評価を経て最終的な方式を確定させる。
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