研究課題/領域番号 |
20H02157
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
東口 武史 宇都宮大学, 工学部, 教授 (80336289)
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研究分担者 |
坂上 和之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 主幹研究員 (80546333)
若山 俊隆 埼玉医科大学, 保健医療学部, 教授 (90438862)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 超広帯域光 / ベクトルビーム / 偏光解析 / 粒径分布 / 複屈折 |
研究実績の概要 |
超広帯域ベクトル光変換法と単一ショット偏光検出法を駆使し,新しい分光偏光計測法を実証することで従来にないハイブリッド計測法を開拓することをめざし,(1) 分光による粒子種と偏光による粒径分布の同時計測と (2) 偏光偏移量の変化による高精度複屈折位相差分光計測を実現することを目的としている. (1) の分光による粒子種と偏光による粒径分布の同時計測については,(1-a) 超広帯域高出力ファイバーレーザーシステムを構築し,ベクトル光に偏光変換すること,(1-b) 環境ガスと微粒子を同時に封入でき,超広帯域高出力光に対応できるヘリオットセルを開発した.現在,画像データ解析プログラムとスペクトル分析用プログラムをPythonで作成しているところである. (2) の偏光偏移量の変化による高精度複屈折位相差分光計測については,原著論文も2本掲載された.その概要は,以下の通りである.波長領域が400~1100 nmの超広帯域光を発生し,アクロマティック軸対称波長板によりベクトルビームに変換した.超広帯域ベクトル光による欠陥検出を模擬するため,サファイア製の1/4波長板の複屈折位相差と主軸方位を評価した.超広帯域光およびバンドパスフィルター [帯域幅:10 nm (FWHM)] で選択された各波長での複屈折位相差と主軸方位を確認した.サンプルの複屈折位相差の計算値と実験結果はよく一致した.複屈折位相差は約12 mradに相当し,目標値の2.4倍であった.複屈折位相差と主軸方位の分解能はそれぞれ0.4°,0.2°,空間分解能は60ミクロンであった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,(1) 分光による粒子種と偏光による粒径分布の同時計測と (2) 偏光偏移量の変化による高精度複屈折位相差分光計測を実現し,本研究手法の拡張性の高さを実証することをめざしている.前項の「研究実績の概要」で述べたように,(1) の分光による粒子種と偏光による粒径分布の同時計測については,光源とガスセルの準備が整い,予備実験を実施した.現在,画像データ解析プログラムとスペクトル分析用プログラムをPythonで作成しているところであり,順調に進んでいると判断した.もう一つの研究項目,(2) の偏光偏移量の変化による高精度複屈折位相差分光計測については,原著論文も2本掲載され,順調に進んでいると考えている.しかしながら,複屈折位相差は約12 mradに相当し,目標値の2.4倍であったことから,今後は複屈折位相差の分解能を向上するため,S/N比を向上させる必要がある.具体的には,光源の高出力化かこれまで想定していなかったゴーストイメージングの手法を取り入れる必要があると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
前項の「現在までの進捗状況」で述べたように,(2) の偏光偏移量の変化による高精度複屈折位相差分光計測については,計測された複屈折位相差は約12 mradに相当し,目標値の2.4倍であったことから,今後は複屈折位相差の分解能を向上するため,S/N比を向上させる必要がある.具体的には,光源の高出力化かこれまで想定していなかったゴーストイメージングの手法を取り入れる必要があると考えている. (1) 分光による粒子種と偏光による粒径分布の同時計測は解析プログラムを完成させ,分子種と粒径分布の同時計測を開始する予定である.
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