研究実績の概要 |
本研究の目的は,マイクロ波,ミリ波,テラヘルツ波等の電磁波センシング技術のためのレーダ理論とトモグラフィ理論を融合した全く新しい多元的画像解析法の研究基盤を創出することである.各種波長帯の電磁波を用いた内部透視型画像化技術は,非侵襲医療画像診断や非破壊検査の応用に有望である.一方,従来の画像解析法では【空間分解能】や【複素誘電率の再構成精度】等において,上記応用の要求性能を満たすことが困難であり,これを本質的に克服する革新的な画像解析法が待望されている.本課題では,上記応用を想定し,独自のレーダとトモグラフィを統合させ,従来の精度限界を超えるとともに,深層学習との双方向処理に基づく多元的な画像解析法を構築し,各種の波長帯へ拡張可能な革新的な電磁波センシング技術を創出する. A.「コンクリート内部空洞・腐食識別のための多元的非破壊イメージング」 トモグラフィ方式で生成される全電界成分を活用することでレーダ画像の伝搬モデルを推定し,不均質背景媒質においてもレーダ画像の精度が保持する手法を提案した.更に,同レーダ画像から抽出される関心領域に絞り込んでトモグラフィ法を適用することで不良設定性を緩和し,複素誘電率推定精度を大きく改善させた.同手法は実道路を想定した試供体に基づく実機データにより,その有効性を検証し,道路内の滞水領域の複素誘電率推定を高精度に推定することが可能であることを示した. B.「乳がん検知等を想定した医療画像診断法」 レーダ画像化を用いた初期値推定法を導入し,トモグラフィ方式における初期値依存性を解消することに成功した.また,3次元的な複素誘電率を再構成するために,波数空間に変換されたデータを3次元畳み込みオートエンコーダで圧縮することで,効率的に学習させる手法を提案し,その有効性を数値計算及び簡易ファントムを用いた実機実験により実証した.
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