研究課題/領域番号 |
20H02189
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
生田目 俊秀 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 技術開発・共用部門, グループリーダー (10551343)
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研究分担者 |
池田 直樹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 技術開発・共用部門, 主任エンジニア (10415771)
大井 暁彦 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 技術開発・共用部門, 主任エンジニア (20370364)
塚越 一仁 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者 (50322665)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 原子層堆積法 / ナノラミネート構造 / 複合酸化物 / 積層膜 / 酸素欠損 / キャパシタ / 電気特性 / 誘電率 |
研究実績の概要 |
今年度は、金属酸化物の候補材料の探索として、Al2O3/TiO2積層、(HfO2)m/(Al2O3)n、(HfO2)m/(SiO2)nのナノラミネート及びHfZrOx複合酸化物を選択した。原子層堆積法(ALD)を用いて、上記の積層、ナノラミネート及び複合酸化物を作製するために、先ず、Al2O3、TiO2、HfO2、SiO2及びHfZrOxのALD原料として、各々AL(CH3)3)(TMA)、Ti[(N(CH3)2)4(TDMAT)、Hf[(N(CH3)2)4](TDMAHf)、SiH[N(CH3)2]3(TDMAS)及び(Hf/Zr)[N(C2H5)(CH3)]4(TEM(Hf/Zr))を選択した。次に、ALDサイクル数を変えてSi基板上へ作製した複数の薄膜の膜厚とALDサイクル数の関係から、ALDサイクル当りの成長速度を求めた。この成長速度を基にして、積層、ナノラミネート及び複合酸化物の目的の膜厚を成膜した。 (HfO2)m/(SiO2)nナノラミネートのHf/Si比は、HfO2のALDサイクル数(m)とSiO2のALDサイクル数(n)を変える事で調整し、ここでは、Hf/Si=1/1, 2/1及び3/1と変えて作製した。この薄膜のTEM+EDS分析より、Hf/Si比と分析で得られたHf濃度は直線関係を満足していることが分かった。 HfZrOx複合酸化物では、Hf原料とZr原料のカクテル(Hf/Zr=1/1)をALD原料として用いて作製した薄膜のTEM+EDS分析より、Hf/Zr比が0.43/0.57であることが分かった。 Al2O3/TiO2積層では、本研究の最終目標の1つであるTiO2層の酸素欠損の移動について、Pt/Al2O3/TiO2/Ptキャパシタを作製して、TiO2層からの酸素の移動機構をバイアス電圧の印可方向を変える事で得られた抵抗変化から理解できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の最終目標である実験データを基に最適なナノラミネート構造の材料設計と作製へ繋げる点を達成できた。特に、(HfO2)m/(Al2O3)n、(HfO2)m/(SiO2)nのナノラミネートで、Hf/Al、Hf/Si比の組成制御を各々のALDサイクル数を変える事で容易に制御できることが分かった。また、単に、ナノラミネート構造の材料設計に留まらず、MIM及びMIS構造を作製して、その電気特性より、Al2O3/TiO2積層ではバイアス電圧の印可方向からTiO2層の酸素欠損の動きを議論できた。HfZrOx複合酸化物では、本研究の目的の誘電率に加えて、強誘電特性も評価できた。 以上より、ナノラミネート構造の材料設計と作製に加えて、MIM及びMIS構造の電子デバイスを安定して作製することができ、得られた電気特性から抵抗変化メモリ及び強誘電体メモリへのアプリケーションの展開へ繋がる糸口を見いだせた点は大きい。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度で構築したALDによる絶縁膜の作製、MIM構造及びMIS構造の電子デバイスの作製プロセス、初期バージョンの電気伝導システムを用いた評価検討を継続して進める。更に、絶縁膜の高誘電率化の観点から、現在、DRAMで検討されているZrO2/Al2O3/ZrO2の3層構造での特性理解を図ることで、新たなナノラミネート構造の材料設計へ繋げる。
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