研究課題/領域番号 |
20H02194
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 陽一郎 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (60801123)
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研究分担者 |
山本 英明 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10552036)
グリーブス サイモン・ジョン 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (60375152)
平野 愛弓 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (80339241)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | コンピュテーショナル・ストレージ / 神経構造 / 可視化 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、全脳規模神経構造の3次元可視化解析を可能とするためのコンピュテーショナル・ストレージ解析テストベッドの基本構造を更に発展させた。テストベッド全体で5つのコンピュートノードと9つのストレージノードを一体化し、6-GPUs/21-CPUs(296コア)及び1080GBメモリに拡張したコンピュテーション機能を実装した。同時に、大容量垂直HDDクラスタと高速SSDクラスタによるストレージを約2倍に拡張して合計2PBのストレージ機能を一体化し、強力なコンピュテーショナル・ストレージ解析プラットフォームを構築した。この解析プラットフォームに、分散KVS型オブジェクトストレージ機能のCephシステムを実装した。Ceph構成の基本性能に関するPlacement Group数やOSD数などの構成条件依存性を検証したのち、脳神経構造3次元可視化ツールを適用した性能検証を実施した。同数のHDD構成RAID0に比べ、Ceph分散オブジェクトストレージシステムのアクセス性能が優れることを明らかにした。 ストレージデバイスの多重記録の研究開発では、次世代HDD記録方式である熱アシスト型垂直磁気記録方式による多重化の可能性についてシミュレーションで検証した。上下二層構造の記録各層のキュリー温度を変え、微小レーザー加熱による昇温を制御することにより、各層への多重記録が可能であることを明らかにし、記録密度を現行技術(記録層1層)の2倍に高めることを検証した。 神経構造・ダイナミック伝達機能の3次元可視化解析プラットフォームの開発では、3次元蛍光顕微鏡およびCaイメージングによるダイナミック神経伝達機能の観測手段から創出されるデータを画像化前処理につなげるデータアクイジションのインターフェースを実装し、人工的に培養した神経回路の活動をイメージ化する性能を確認した。解析テストベッドとも接続した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エッジ配置型コンピュテーショナル・ストレージ解析プラットフォームのベースとなるテストベッドを大幅に拡張した。前年度比2倍となる容量2PB級のHDD/SSDハイブリッドストレージ機能に、GPU/ CPUとTB級大規模メモリによるコンピューティング機能を近接配置し、分散KVS型オブジェクトストレージ機能のCephシステムを実装した。脳神経構造3次元可視化ツールを適用した性能検証を実施した。同数のHDD構成RAID0に比べ、Ceph分散KVS型オブジェクトストレージシステムのアクセス性能が優れること及び性能の特徴を明らかにした。 ストレージデバイスの多重記録の研究開発では、次世代HDD記録方式である熱アシスト型垂直磁気記録方式による多重化の可能性についてシミュレーションで検証した。上下二層構造の記録各層のキュリー温度を変え、微小レーザー加熱による昇温を制御することにより、各層への多重記録が可能であることを明らかにした。書き換えする記録層のキュリー温度の高低により記録モードを切り替える必要があり、瓦記録のようなread-modify-write機能が必要であることも明らかにした。 神経構造・ダイナミック伝達特性の3次元可視化解析プラットフォームの開発では、3次元蛍光顕微鏡によるDrosophilaとMouseの脳神経構造データを取得し、3次元可視化解析ツールを使ったデータ解析性能の評価が可能となった。また、培養神経回路のCaイメージングデータを取得して、可視化解析するワークステーションに展開するインターフェースを整備し、解析テストベッドとも接続した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)コンピュテーショナル・ストレージのモジュール最適構成の研究: コンピュテーショナル・ストレージ基盤の構成を継続して拡張および性能最適化する検討を実施する。分散KVS型オブジェクトストレージシステムを最適実装し、マルチGPU/CPUプロセッサ群と不揮発性を含む階層メモリスタックを配置し、メタデータ管理とKey-データ保管物理アドレス変換、NVMe型高速フラッシュメモリSSD、HDDのValue を含めたKVSによるデータアクセスの性能検証を行う。構築したコンピュテーショナル・ストレージの分散ストレージシステム基盤の性能評価を行うために、ベンチマークツールと脳神経構造3次元可視化ツールを適用した性能検証の機能を実施する。 (2)ストレージデバイスの多重記録及び高速アクセス化の研究開発: 次世代HDD記録方式としてHDD記録密度を現行技術(記録層1層)に対し2倍に高める可能性を検証したマイクロ波アシスト型垂直記録方式と熱アシスト型垂直磁気記録方式の2つの多重化方式について、コンピュテーショナル・ストレージシステムにおけるvalue記録の最適化手法を検討する。 (3)蛍光カルシウムメージングにより取得した培養神経回路の時系列画像データを対象として、大容量神経データを解析処理するための高速情報ネットワーク環境を構築する。課題(1)で構築したストレージシステムにおけるデータ通信や解析時の性能を評価する。
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