研究実績の概要 |
これまでの(Bi,La)(Fe,Co)O3薄膜において、比較的大きな飽和磁化(80 emu/cm3)とこれまでほとんど報告されていない垂直磁気異方性(垂直方向保磁力/面内方向保磁力(Hc⊥/Hc//):1.6)が得られていた。今回、他のランタノイド元素としてNd, Sm, Eu, Gd, Dy, Er、他の遷移元素としてNiを用いた。(Bi,Nd)(Fe,Co)O3薄膜において大きな飽和磁化(140 emu/cm3)が得られ(Int. J. Soc. Mater. Eng. Res.)、(Bi,La)(Fe,Ni)O3薄膜において大きな垂直磁気異方性(Hc⊥/Hc//:4.1)が得られ(日本素材物性学会誌)、(Bi,La)(Fe,Co)O3薄膜において大きな磁気Kerr回転角(0.67°)が得られた(Nano-structures and Nano- objects, 投稿中)。これらの特性はデバイス応用に極めて有用である。また、磁気転写に有効と思われる飽和磁化の大きな材料である(Bi,Nd)(Fe,Co)O3薄膜の局所電界印加による磁化反転の検証において、これまでより大きな磁気信号が発生していた。このことから、本材料は磁気転写における磁化反転割合をこれまで以上に大きくできることが期待される。 磁気メモリ用材料として有望なスキルミオンを生ずる材料において、そのスキルミオンサイズを小さくするために、代表的なスキルミオン材料であるベータMn型Co-Znにおいて、種々の元素を添加した3元系または4元系合金を作製し、それらの磁性への元素置換効果を明らかにした。特に、2つの原子サイトに着目し,この2つのサイトに添加元素を選択置換させることで、スキルミオンが形成する温度の目安となるキュリー温度の制御が可能であることを示した。これらの結果はスキルミオンサイズの設計に有用な情報となる。
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