これまでに、研究目標のうち、1.メンブレンレーザにおける「最適」な光閉じ込め構造の提案、2.Siナノフィルムを利用した直接接合によるシリコン基板上メンブレンレーザ熱抵抗低減については、目標を達成している。最終年度となる2022年度において、3.エネルギーコストを大幅に低減したデータ伝送の実証について、取り組みを行った。その結果、2インチ基板に作製した、光リンクについて、25 Gbpsでの高速なデータ伝送を実現する事に成功した。 具体的には、これまでに実現してきた、共振器方向の光閉じ込め方向を適切に調整可能な方法であるACPM( asymmetric corrugation-pitch-modulated)回折格子と、横方向の閉じ込めを行う埋め込みリッジ構造を導入した半導体レーザとともに、GaInAsP導波路および、GaInAsP量子井戸受光器を集積した基板を作製した。その基板をへき開等をせずに、ウェハプローバーに導入し、光リンクの特性を測定した。その結果室温にて、25 Gbpsでの良好なアイダイアグラムを得ることができた。また、高温特性も向上しているため80 °Cでの10 Gbps信号伝送にも成功した。以上の結果は、論文および国際会議にも採択され、高い評価を得た。以上より、本研究での目的を達成したと言える。今後の将来展望としては、今回はシリコン基板上へのリンクの形成であったが、CMOS電子回路への形成を目指して、プロセス研究を行っていくとともに、他のアプリケーションへの展開を目指す。
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