研究課題
・ビルトインひずみ膜の転写プロセス:架橋グラフェンへ印加するひずみを増大するため、グラフェンに引張ひずみを印加した状態で転写を行うプロセス技術を検討した。グラフェンにひずみを印加する支持膜としてエラストマー素材を用いることとした。転写後の架橋膜をラマン分光法により評価した結果、得られたラマンシフトより最大0.56%のひずみが印加されたことが示唆された。また、グラフェン共振器の共振測定を行い、共振周波数、Q値ともに62%の向上を確認した。以上より、ひずみ印加転写プロセスは共振特性向上に有効であることが示せた。・オンチップ分子計測技術の開発:センサの携帯化に向け、検出回路とグラフェン型表面応力センサを同一チップ上に一体化するプロセス技術を開発した。一体化センサを用いて、抗原抗体反応によるターゲット吸着を行い、電気的分子検出を評価した。従来の反射光を用いた光学的測定と、オンチップフォトディテクタによる電気的測定を同時に行い、反射率の変化と出力電圧の変化を評価した。その結果、反射強度1%の減少に対し120 mVの増加が確認できたことから自立グラフェン膜の変形をオンチップで検出することに成功した。・応力・質量マルチモーダル測定:レセプターで機能化したMEMSセンサ上へ生体分子を吸着し、表面応力測定と共振質量測定を行った。表面応力測定ではモデル分子としてCOVID-19の重症化予測の利用に期待されているCCL-17を検討し、最小検出下限として1 pg/mLが得られ、実用上十分な感度を有することが分かった。また、質量計測ではウイルスのように検体中に数の少ない分子の検出が可能であることから、COVID-19の不活化ウイルスの検出能力を評価した。分子吸着前後の共振周波数シフトから、質量感度を算出した結果、0.743 zg/Hzの質量感度が得られた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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