研究課題/領域番号 |
20H02227
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
川端 雄一郎 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (10508625)
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研究分担者 |
川野 秀一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50611448)
渡邊 禎之 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部技術開発支援部計測分析技術グループ, 上席研究員 (70463065)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | コンクリート / 内部膨張反応 / 統計解析 / 微細構造分析 |
研究実績の概要 |
(1)検証用試験体の作製・屋外暴露:2020年度に製作した試験体について,その膨張や損傷挙動を経時的に計測し,基礎データを蓄積した。また,追加で試験体を製作し,環境条件等を変化させた室内試験を開始した。 (2)広域微細構造分析法の検討:SEMモンタージュ技術でASRによる微細損傷過程を経時的に評価した。分析手法として,サンプル調整からSEMモンタージュまでの条件出しを行い,申請者が実施していた従来のモンタージュ技術の約6~10倍の広域にまで微細損傷評価が可能になった。また,固体NMRについて,分析条件の見直しによりピーク分解能が若干改善されたことを確認したが,より一層の改善が必要であり,今後検討を進める予定である。 (3)統計解析手法の検討:微細損傷の特徴量を抽出し,それを時空間データとして取り扱う上で適切な統計解析手法を検討した。ASRによる微細損傷について一次モデルを構築した結果,今後異なる拘束条件などへの適用性について検討が必要であることが分かった。 (4)ケモメカニクス解析による膨張履歴推定手法の検討:2020年度に改良したケモメカニクス解析によって膨張履歴を推定する手法を検討した。異なる温度条件(一定)での内部膨張に関する時系列データから,膨張率が大きくなると微細損傷量の増加率に対する膨張率の増加率が減少することがわかった。本現象を簡易モデルでケモメカニクス解析に実装した。これにより,温度条件と微細損傷量から膨張履歴を推定することが可能であることが分かった。また,簡易手法として,劣化後のコンクリートの物性情報からこれまでの膨張率を推定する手法について検討した。DEFで生じるひび割れの内部分布をXCTで観察し,その後物性試験を行い,内部ひび割れと物性の関係を評価した。本手法もケモメカニクス解析での取扱いが可能なようプログラムの改良を行い,FEMソフトウェアに実装した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SEMモンタージュ技術を用いた広域微細構造分析手法に関しては一定の目途が立ち,予定よりも早く進行している。固体NMRに関しては一層の改善が必要であるが,一定の成果は得られた。また,統計解析モデルに関して,自由膨張に関するデータではあるものの一次モデルを構築し,今後の検討に向けた基礎ができた。これらの結果から,おおむね順調に進展していると判断した。また,所属機関のコロナ対応等で実験の実施が当初困難な時期もあったものの,オンライン会議等を活用し,緊密に連絡を取ることで,相互の連携をカバーすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初の計画通り順調に進展しているため,継続して研究を進める。特にコロナに関しては,各所属機関の対応状況等を見定めながらフレキシブルに対応する予定である。
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