研究課題/領域番号 |
20H02233
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
梶田 幸秀 九州大学, 工学研究院, 准教授 (10403940)
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研究分担者 |
松田 泰治 九州大学, 工学研究院, 教授 (50264065)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ダイラタント流体材料 / 緩衝材 / 復元力特性 |
研究実績の概要 |
ダイラタント流体材料の荷重-変位関係の数学モデルを汎用地震応答解析ソフトOpenSeesに内挿することと,コンクリート梁に対してダイラタント流体材料を衝撃緩衝材として用いた場合のコンクリート梁,ダイラタント流体の応答を把握するための重錘落下実験を実施することが2021年度の研究計画であった。 まずダイラタント流体を緩衝材として用いた重錘落下実験では,鉄筋コンクリート梁(スパン長800mm,はり高120mm,幅300mm)を作成し,ゴム製緩衝材を用いた場合とダイラタント流体材料を用いた場合とにおける重錘落下実験を行った。本実験で得られた知見は(1)ダイラタント流体中で重錘が止まった場合はこれまでの実験同様,ゴムよりも高い荷重低減効果を示し,また,重錘がダイラタント流体を設置した容器底面に接触したとしてもしばらくはゴムよりも高い荷重低減効果を示すことが分かった。(2)ひび割れ発生状況については,容器底面に接触するまで発生せず、接触後徐々に発生していくことがわかった。 続いて,ダイラタント流体材料の荷重-変位関係については,昨年度,Python言語で書かれた深層学習プログラムを用いて求めることを実施したが,OpenSeesに内挿することに手間取っており,現在では,深層学習で得られた数学モデルではなく,実験結果から補完した数学モデルをC++言語で執筆することでOpenSeesに内挿することに取り組んでおり,除荷時に荷重(反力)が発生しないモデルを内挿することはほぼできあがった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は,2020年度に作成した深層学習により復元力特性を直接求め,その結果をオープンソースであるOpenSeesに内挿し,地震応答解析を実施する予定であったが,OpenSeesの内挿にあたっては,C++言語に変換する作業が必要であり,その作業が難航した。そこで,深層学習により復元力特性を求めた結果を直接OpenSeesに内挿するのでは無く,一度,数学モデル(二直線近似)に置き換え,OpenSeesにサブルーチンを追加する作業を実施している。ダイラタント流体材料を緩衝材として用いるための実験は順調に実施できいるが,OpenSeesによるシミュレーションが間にあっていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況でも述べたとおり,ニューラルネットワークを用いたダイラタント流体材料の復元力特性の結果をシームレスにOpenSeesに内挿することは時間的に厳しいため,まずは数学モデルを作成し,そのモデルをOpenSeesに内挿することとする。その後,2021年度に実施したRC梁に対する重錘落下実験のシミュレーション解析,そして,実構造を対象とした上部構造と橋台の衝突解析を実施し,ダイラタント流体材料の落橋防止システム用緩衝材としての実用性の検討を実施する。
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