研究課題/領域番号 |
20H02236
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
有吉 慶介 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), グループリーダー (20436075)
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研究分担者 |
宮澤 泰正 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(アプリケーションラボ), ラボ所長代理 (90399577)
永野 憲 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究センター), 主任研究員 (40421888)
松本 浩幸 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), 主任研究員 (80360759)
木村 俊則 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), 副主任研究員 (30520845) [辞退]
町田 祐弥 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), 研究員 (10770670)
Varlamov Sergey 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(アプリケーションラボ), 主任研究員(シニア) (00304840) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スロースリップイベント / 黒潮大蛇行 / 海底地殻変動 |
研究実績の概要 |
2020年度は南海トラフに範囲を絞ったが、2021年度~2022年度は十勝・釧路沖のデータ解析も行った。海洋モデルについては、衛星データを活用したデータ同化の精度向上を進めた (Miyazawa et al., 2021)。ここでは、2021年度の成果を中心に報告し、2022年度の成果は当該年度の研究実績の概要で述べることにする。 黒潮続流から生成される暖水塊の影響評価について、海洋モデルによる影響評価を行った結果、海面高度変化による海底圧力の傾圧変化は、10~20%程度と見積もることが出来た (Hasegawa et al., 2021)。相模沖および室戸沖の潮位計を用いた観測データの適用においても、潮位変化の約20%が海底圧力変化への寄与となっていることが確かめられた (松本・他 2021)。 釧路・十勝沖の海底ケーブル式による圧力・流速計のデータ解析を行った結果、2年周期で海溝軸に沿った底層流の厚さは50~350mの範囲で変化しており、この流れの厚さの変化は、エルニーニョ・南方振動に大きく関係するアリューシャン低気圧の強まりによって生じる海洋バロトロピック擾乱と、沿岸のトラップ波の底部モードの励起によって変化することがわかった (Nagano et al., 2022)。 以上の知見を踏まえて、2020年3月に発生したスロースリップイベントについて、孔内観測点C0006における間隙圧変化の地殻変動検知能力向上の手段として、周辺のDONET海底圧力計を用いることで、S/N比が3~4倍ほど高まり、10nstrain という小さな圧縮変化の検知に成功すると共に、断層面の傾斜角が4度以下となる拘束条件を見出した。さらに、スロースリップイベントの終息時期に黒潮蛇行によって海底圧力が増加していることも確かめられた (Ariyoshi et al., 2021)。 これらの成果は、2021年度から2022年度にかけて国際学術誌に掲載されると共に、プレスリリース、オンラインでの学会発表などで紹介した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
推進方策の通り、海洋モデルおよび間隙圧のS/N比向上といった解析手法開発が進んでおり、国際学術誌への掲載も複数あることから、概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
Ariyoshi et al. (2021) で開発した間隙圧S/N比向上や海洋モデリングによる海洋擾乱影響評価について、準リアルタイムでモニタリングするための環境構築を進め、スロースリップイベントなど通常とは異なる変化が生じた場合に臨時情報が出せるようにする。
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