1年目である2020年度にはプラスチック光ファイバー(Plastic Optic Fiber,略称POF)で試作した各種センサー(POFセンサーと呼ぶ)が捉えた光情報を分析する画像処理アプリ(X1と呼ぶ)の基本形を構築し,その基本性能を検証した.その結果,当初目的としていた精度で,土木工学における防災技術の一つとして十分に役立つモニタリングシステムを構築できることを確認した. 2年目である2021年度には,主に複数のPOFセンサーを同時に分析する手法を中心として,室内実験,およびフィールド実験を実施しX1の機能確認をするとともに,改善点を洗い出すことを実施し,画像処理アプリX1の完成度を高めることに注力した. 最終年度である2022年度には,このモニタリングシステムを広く全国,全世界に導入する際に重要となる「使いやすさ」の観点から,モニタリングを実施しているサイトでPOFセンサーが捉えた光情報を,ネットワークカメラで撮影し,インターネット経由で届いた画像を別の場所で分析することを試みた.この方法論は現代のICT技術の発展によって可能となるものであり,モニタリングの場所とデータ分析の場所を任意に設定できるため,モニタリング全体の計画が非常に効果的に展開できることになる.また,モニタリングの結果をクラウドサーバーにアップして,誰でもどこからでも計測結果をリアルタイムで閲覧できる状態を構築した. 最後に,アプリのユーザーインターフェースを最終確認し,これを将来的にWindowsのシステムで稼働させるための課題抽出を行うとともに,市場への展開を具体的に進めるための準備を行い,最終的に,斜面などのモニタリングコストが従来の方法と比較して1/10以下に抑えられる可能性を示した.
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