研究課題/領域番号 |
20H02247
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
宮田 喜壽 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 教授 (20532790)
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研究分担者 |
篠田 昌弘 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (30462930)
野々山 栄人 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 講師 (00624842)
宮本 慎太郎 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 講師 (60782711)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 土構造物 / 維持管理 / レジリエンス / 組合せ作用 / 予防保全 |
研究実績の概要 |
本研究は,道路網のレジリエンスマネジメントに資する土構造物を対象にした維持管理技術の高度化を目的とし,1) 交通・降雨の組合せ作用による土構造物の性能劣化過程の解明,2) 各種予防保全技術の検証と劣化・保全履歴を考慮した土構造物の性能評価法の開発,3) 種々の土構造物の劣化・予防保全の効果を考慮した道路網の機能評価法の構築,の3つを研究する.2020年度の研究計画では,性能劣化過程に関する材料・模型実験について,a) 浸透履歴の影響を調べるための土の変形強度試験,b) 地盤補強材の長期材料試験と評価モデルの構築,c) 模型実験のための組合せ載荷装置の開発,を実施することになっていた.以下,成果の概要を説明する. a) 浸透履歴の影響を調べる土の変形強度試験では,浸透作用メカニズムを解明するために,広範な動水勾配条件で浸透力が計測可能な新たな透水試験装置を開発した.粒径の異なる4種類の砂・礫質土を用いた実験により,広範な動水勾配条件を考慮した浸透力評価法を提案した.さらに,同装置を用いて,浸透作用が土の構造および力学特性に与える影響を調べた.実験結果より,浸透初期には土粒子の流入による目詰りが発生し,その後,土粒子が流出する内部侵食が進行することを明らかにした.目詰りと内部侵食の条件による土構造の変化を定量的に評価する方法を提案し,土構造変化が力学特性に及ぼす影響を一面せん断試験により明らかにした.b) 地盤補強材の長期材料試験では,補強材の土中環境を考慮した促進クリープ試験法について検討した.本試験法によって,施工時の損傷,土中拘束,クリープの影響を統一的に考慮した補強材の長期強度特性が評価できる可能性を示し,土の種類や施工法などの現場条件,構造物の設計寿命を考慮した設計強度の評価法を提案した.c) 組合せ載荷装置の開発では,降雨作用と交通作用を同時に考慮可能な実験装置の開発を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,2020年度に予定していた性能劣化に関する材料試験と評価法の開発などは概ね完了している.今後は,準備を進めている模型実験を順次実施していく.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は,予防保全技術検証のための模型実験と予防保全を施した土構造物の性能評価に関して,a) 既存技術の検証のための降雨・交通の組合せ作用を考慮した模型実験,b) サウンディング機能付き保全技術の検証のための貫入抵抗模型実験,c) 土構造物の時間依存型性能評価法の提案,の3つを行う予定である.以下,概要について説明する. a) 既存技術の検証のための降雨・交通の組合せ作用を考慮した模型実験では,組合せ荷重を所定の期間,土構造物の模型に作用させて変状させた後に,排水パイプ・補強鉄筋の打設を行い,再度,組合せ荷重を作用させる.最後に支持力試験を実施し,予防保全の有無による残存耐力の違いを明らかにする.b) サウンディング機能付き保全技術の検証のための貫入抵抗模型実験では,排水パイプ・補強鉄筋を土構造物に打設する際,その貫入抵抗で土中の状態を把握する新しい保全技術について検討する.変形強度特性が既知の模型地盤に対し,排水パイプ・補強鉄筋の貫入試験を実施することで,この技術のサウンディング機能を調べ,その妥当性を検証する.c) 土構造物の時間依存型性能評価法の提案では,時間の経過に伴う材料劣化を考慮した土構造物の性能評価モデルを構築する.申請者がすでに開発している帯鋼補強材の腐食劣化を考慮した信頼性解析法に,上記1),2)の性能劣化過程に関する成果を組み込み,時間依存性を有する土構造物の性能を確率論的に評価する方法を提案する.
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