研究課題/領域番号 |
20H02249
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
横尾 善之 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (90398503)
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研究分担者 |
勝山 正則 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (40425426)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 桐生水文試験地 / 成分分離 / 貯留量 / 有効降雨 / 水位 / 水位流量曲線 |
研究実績の概要 |
本研究は,中小河川の水位を常時高精度に予測し,流域の治水・利水に直接的に貢献できる技術を開発することを目的としている.これに向けて,①降水量・水位データを用いた流域内の主要な降雨流出過程の逆推定・モデリング手法の確立,②試験流域における本手法の妥当性の検証,③実流域における水位予測精度の実証試験の合計3点に本研究は取り組むことを計画している. 2021年度は,「②試験流域における本手法の妥当性の検証」に取り組んだ.具体的には,Katsuyamaら(2021)で紹介されている京都大学の桐生水文試験地において,Yokooら(2017)の手法を用いて流域内の降雨流出過程を逆推定した.なお,水位流量曲線は得られなかったため,仮想の水位流量曲線を設定し,毎時の流量データから毎時の水位データを作成して推定精度の検証に利用した. その結果,桐生水文試験地においては,高精度に河川流量を推定できる降雨流出モデルを同定することができた.さらに,その結果と仮想の水位流量曲線を用いて仮想の水位を推定した結果,高精度に水位を推定できることを確認した.この結果を受けて,河川流況の推定手法に関する提案を含めた文献のレビュー論文を執筆した. 以上の通り,非常に良い結果が得られた一方で,本研究の手法では河川流量から同定した降雨流出モデルで計算される河川流量およびそこから求めた水位の推定精度を検討した段階に留まっている.実際の河川流量および水位を推定するには,同定した降雨流出モデルに観測された雨量データやその予測値を入力して,精度検証を行う必要がある.この点については2022年度に取り組むことにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度には水位予測手法を確立することを狙っていたが,降水量の観測値を同定したモデルに入力して河川流量および河川水位を推定するには至らなかった.このため,降水量の観測値を有効降雨に変換する地表面モデルの構築が必要であることが新たに判明した.これにより,研究計画の変更が必要になり,研究の進捗がやや遅れることになったため,上のように自己評価した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,降水量の観測値を有効降雨に変換する地表面モデルの構築に早急に取り組み,河川水位の予測精度の検証にも取り組む予定である.
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