研究課題
物理・生物地球化学過程に係る数値予測システムを構築し,東京湾全体における炭素の吸収・排出過程の周年推定を行った.CO2の傾向は排出が高まる秋季の沿岸湧昇が卓越する湾奥部東岸で高くなり,港湾域内で低くなる傾向が示唆された.東京都区部と千葉県の下水処理場の流入下水と排水試料を用いた培養試験により,難分解性溶存有機物(RDOC)の推算を行い,下水処理場における易分解成分の多くが除去されていることを確認した.さらに,非構造格子海洋モデルを用いた物理過程に関する計算システムを構築し,下水処理水や河川水起源の栄養塩のノリ漁場への供給ポテンシャルを評価し,水産資源や炭素吸収への貢献と水環境への影響緩和に係る栄養塩管理において,下水処理水に着目することの意義を明確にした.東京湾富津干潟のアマモ場において砂浜へ打ち上げられた海草の炭素量を評価し,アマモ場の純一次生産の評価と併せてその成果を国際誌論文として発表した.炭酸化学平衡に基づく水中CO2分圧の推定手法の現地適用性を確認するため,大阪湾の異なる水域で採水調査を実施し,CO2の実測値と観測変数から計算した推定値を比較した.同一湾内においても河口域と外洋に近い海域では最適な推定パターンが異なること,また,pHを観測変数とする場合は推定値に及ぼす感度が高く観測誤差に注意が必要であることが明らかとなり,今度,公共データなどを用いたCO2分圧を推定する際に有用な知見を得た.大阪湾の沿岸部に位置する環境の異なる干潟,湿地帯,アマモ場の堆積物による有機炭素貯留量を推定した.深度1mあたりの堆積物による炭素貯留量は36-117 tC/haと推定され,淀川の干潟の1haあたりの炭素貯留量が最も高かった.特に,湿地帯において植生があることで,微細粒子の沈降・堆積を促し,植生自身の炭素固定に加えて,堆積物による炭素貯留が行われていることが示唆された.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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HEDORO
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