研究課題/領域番号 |
20H02262
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
関根 正人 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60187854)
|
研究分担者 |
平松 裕基 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(寒地土木研究所), 研究員 (10731812)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 移動床水理学 / 流砂 / 河川工学 / 水工水理学 |
研究実績の概要 |
本研究では,石礫・礫・砂・シルトならびに粘土からなる河床で生じる流砂現象のうち,従来の流砂研究では必ずしも十分明らかにされてこなかった次の二つの重要な現象を取り扱います. 第一は,河床上に存在する粒径の大きな石礫あるいは礫が,粒径のより小さな砂・シルトに及ぼす遮蔽の効果を表す評価式を実験的に誘導し,その妥当性を検証します.さらに,掃流砂と浮遊砂が混在するような流れ場における流砂のメカニズムを,新たな実験を通してこれまでとは異なる視点で捉え直すことを目指します.これを可能とするのがレーザーシートと高速度カメラかなる計測システムです.従来の流砂理論では,河床を構成する材料の輸送すなわちBed material loadは,掃流砂と浮遊砂に大別されそれぞれについて研究されてきましたが,これは便宜的なものにすぎません.また,流砂の輸送濃度は,元々のソースである河床の濃度と連続であるはずです.既存の枠にとらわれずに流砂現象を再構築するための糸口を見出すことが,本研究の第一の重要なポイントです. 第二は,粘土河床上に砂礫を輸送させると,掃流砂の作用を受けて一時浸食が促進しますが,砂礫が堆積するようになると,砂礫が河床上に堆積することにより浸食を抑制する効果が卓越するようになり,砂礫河床へと遷移していきます.この一連のプロセスを,粘土の浸食,砂礫の堆積・再浸食のサブ・プロセスに細分化し,それぞれを力学的に捉えられるように検討しています. このような実験による現象解明に向けた検討に加えて,本研究では,これら二つの流砂現象を数値計算により再現する手法を開発しています.そして,これを適用することにより実河川での現象の理解を深めていく努力を続けていきます.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた実験を完了することができました.最終年度に検証実験を行う必要はありますが,順調に進んでいると考えております.数値計算手法の開発も概ね終わりつつありますが,計算に予想通りかなりの時間を要することが確認され,計算結果のとりまとめには最終年度末までかかるものと判断しています.
|
今後の研究の推進方策 |
現時点で問題となるものはありません.2021年度の取り組みの延長線上を計画通り進めていけば,当初の目的は達成できると考えております.
|