研究課題/領域番号 |
20H02264
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水谷 大二郎 東北大学, 工学研究科, 助教 (30813414)
|
研究分担者 |
奥村 誠 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (00194514)
山口 裕通 金沢大学, 地球社会基盤学系, 助教 (10786031)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | アセットマネジメント / インフラマネジメント / 動的需要制御 / 最適化数理 / 動的計画法 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,インフラ群に対するネットワークレベルの維持管理施策最適化問題において,需要制御効果がどの程度存在するのかを体系的に整理することを最終目標としている.初年度である本年度は,需要制御に関する既存研究のレビューを行うとともに,小規模なネットワーク(具体的には,代替性を有する2橋梁)におけるインフラ廃棄タイミングと需要制御施策の同時最適化問題を具体的な検証対象として取り上げた.具体的な条件設定としては,個々の橋梁がマルコフ過程に従い確率的に劣化し,需要が確定的に経年的に減少してゆく状況を想定した.そのような条件設定のもとで,最適維持管理施策と最適需要制御施策を同時に求める方法を動的計画法に基づき開発し,インフラの廃棄問題における需要制御効果を検証した.実橋梁を想定した数値計算事例において,開発した方法論により,個々の橋梁の廃棄タイミングと橋梁間の需要制御施策が同時に最適化されている点を確認し,ネットワークレベルでインフラの廃棄問題を議論する必要性(個々の橋梁で独立に最適廃棄タイミングを求めた場合と,2橋梁で同時に最適廃棄タイミングと最適需要制御施策を求めた場合で結果が大きく異なる)を確認した.さらに,当該数値計算事例において,需要制御により小規模なインフラネットワークの期待総余剰が有意に増加し得る点,さらには,需要制御により管理者が実際に支出する費用であるインフラの維持管理費用が最大で10%程度低減できる可能性がある点をそれぞれ確認した.また,上述のように,ネットワークレベルでのインフラの最適維持管理施策導出の重要性を確認し,大規模ネットワークでは,最適化計算の計算負荷が極めて膨大となることから,解空間を近似することにより計算負荷を低減させるための方法論を併せて開発した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り,今年度は小規模なインフラ群におけるインフラ廃棄問題において動的需要制御施策の有効性を確認できた.また,研究計画時に予想していたように,動的需要制御施策の検討を通じて生じた副次的な研究テーマに対しても一定の研究成果が獲得でき,アセットマネジメントに関する複数の方法論を開発することができた.そのため,現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断できる.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降も,当初の計画に従い研究を推進することを予定している.具体的には,対象とするインフラ群の規模を徐々に拡大するとともに,インフラ廃棄問題以外の維持管理施策最適化問題においても,動的需要制御施策の有効性を検証してゆく予定である.
|