研究課題/領域番号 |
20H02280
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐々木 邦明 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30242837)
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研究分担者 |
菊池 輝 東北工業大学, 工学部, 教授 (00343236)
上石 勲 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 主幹研究員 (60455251)
福田 大輔 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70334539)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 行動シミュレーション / 短期予測 / データ同化 / ニューラルネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究は,気象・地震等の災害を対象として,行動シミュレーションを実行し,実際の人流等の観測データに融合することで,災害時の現況を再現し,さらにそれを用いて精度の高い予測を行うことが目標である.また,そのシミュレーション結果を用いて,機械学習等によって災害の状態を逆に推定することである.今年度は行動再現シミュレーションと観測データ,交通ネットワークと観測データの活用可能性についての検討を行うことが目標である. そのような研究テーマに対して,2020年度は,コロナ禍という未曽有の災害に等しい状況に直面した.通常とは大きく異なる交通状態を目の当たりにし,さらに行動抑制による感染拡大等の施策が実施され,その施策評価が求められていた.そこで当初の予定を修正して,このコロナ禍という災害を対象として,行動シミュレーションと観測データの融合による災害時の交通状態の再現を行うこととした.基本的な考え方はほぼ同じであったことから,気象災害をコロナ禍による外出行動変化と置き換えて,計算を行うことにそれほどの問題はなかった.具体的な研究として,行動シミュレーションとモバイル空間統計を用いたメッシュ別の滞在人口推計値を使って,テレワークの実施率を推計するなどのシミュレーションによるナウキャストを実施した.その結果として既存の調査と同等のテレワーク率が推計され,その地理的分布や各種属性別の分布が明らかになり,災害時の状況把握に有益な手法であることを明らかにした. さらに網羅的な推計のための機械学習による人口変動の予測を行った.これは緊急事態宣言等による人口分布が,通常とは異なる状態になったことを検知するための,必要な条件について明らかにすることが目標となった.その結果,変化の大きさと継続時間,学習に必要なデータなどの特性を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では,気象災害時の行動シミュレーションと観測データの同化を実施したうえで,交通量に落とし込むことを目標としていたが,当初とは異なり,検討対象をコロナ禍による行動変化としたために,行動変化の長期化と,大規模化に対応する必要ができてきた.また今回対象とした現象では,交通量が減少したことから,交通ネットワーク上での再現の必要性が薄れたことも理由の一つである.
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今後の研究の推進方策 |
今後はコロナ禍による行動変化が引き続き大きな影響を与えていることを鑑み,さらにニューノーマルと言われる行動の再現に取り組む.一方,当初の予定である気象災害時の行動変化の再現と短期的な予測,さらには交通ネットワークに与える影響の検証を並行して行っていく.
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