研究課題
2022年度は,2021年度に基礎検討を行った,宿主特異的な微生物遺伝子マーカー検出系を用いたマイクロ流体工学に基づくハイスループットリアルタイムPCRを実際の環境試料に適用することにより,河川水中の糞便汚染源の解析を試みた。2020年8月~2022年3月に河川源流域で採取した土壌試料67試料と河川水13試料に対し,河川水は陰電荷膜破砕型濃縮法と遠心式フィルターユニットを用いて濃縮した後,抽出キットを用いてDNAを抽出した。ヒト特異的遺伝子マーカーとして2種類のヒトバクテロイデス(BacHum,gyrB)とヒトアデノウイルス,反芻動物特異的遺伝子マーカーとして反芻動物バクテロイデス(BacR)とウシミトコンドリアDNA,ブタ特異的遺伝子マーカーとしてブタバクテロイデス(Pig2Bac)とブタアデノウイルス,イヌ特異的遺伝子マーカーとしてイヌミトコンドリアDNA,ニワトリ特異的遺伝子マーカーとしてニワトリパルボウイルスの9種類のリアルタイムPCR系を用い,Biomark HDシステム(スタンダード・バイオツールズ)によるハイスループットリアルタイムPCRを実行した。9種類の微生物遺伝子マーカーのうち,ヒトバクテロイデス(BacHum),反芻動物バクテロイデスおよびブタミトコンドリアDNAの3種類のみが検出され,土壌試料からの陽性率はそれぞれ,3%(2/67),21%(14/67),31%(21/67)であった。付近ではヒトの活動が確認されていないことから,BacHumはヒトに近縁なサル等の野生動物と宿主を区別できていない可能性が示唆された。また,河川水13試料中2試料(15%)から反芻動物バクテロイデスが検出された。これらの結果に基づき,本研究では,人為汚染のない河川源流域における糞便汚染源を解析するための新技術を開発することができたと結論付けた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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