研究課題/領域番号 |
20H02288
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
山村 寛 中央大学, 理工学部, 教授 (40515334)
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研究分担者 |
中屋 佑紀 北海道大学, 工学研究院, 助教 (60868735)
丁 青 中央大学, 理工学部, 助教 (70837476)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膜ファウリング / 固体三次元励起蛍光分析 / In-situ観察 / EEM / クエンチング |
研究実績の概要 |
固体試料分析では,光源から入射する励起光のうち,固体試料中の色度成分に吸収されたり,散乱する光を除いた光量が有効照射量として試料に到達する.また,試料から放射された蛍光のうち,試料中で再吸収されたものを除いた光が有効蛍光量として検出される.このような,励起光の吸収・散乱および蛍光の再吸収が,固体試料の蛍光分析における,蛍光強度減衰(クエンチング)現象の主因とされる.BSAの蛍光強度は,濃度の増加に伴って,蛍光強度が飽和する対数増殖曲線を描いた.飽和曲線は,試料の色度によって異なり,色度が増加するほど,飽和蛍光強度が低下する傾向が観察された.これは,色度成分による励起光の吸収が蛍光強度に影響したものと推測する. 励起光の吸光度をK-M関数により算出した結果,蛍光強度とK-M関数(280 nm)の積が,質量%濃度に対して線形的な関係になることを発見した.これにより,蛍光強度とK-M関数の積から,任意成分の質量%濃度が推定可能になった. K-M関数は,分光光度計を用いて測定した拡散反射率を利用したが,励起光の散乱は,蛍光測定時のレイリー散乱光にも同様に反映されると考える.着色粉末試料と酸化アルミニウム板のレイリー散乱光強度から拡散反射率を算出した結果,BSA濃度が20wt%以上において,図2と同様の線形関係が得られた.低濃度域では,レイリー散乱光の強度が低いため,散乱光の検出が難しかったものと考える. 以上の結果より,SPF-EEMのうち,蛍光強度とレイリー散乱を利用することで,簡易かつ高精度に,任意の固体蛍光物質を定量できる可能性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定どおり、固体EEMスペクトルの定量法を確立に成功した。 色度に関係なく、固体中に含まれる成分濃度をSPF-EEMにより定量することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
BSAを対象として、定量法を確立した手法を、他の蛍光物質およびNOMへの適用を試みる。
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