研究課題/領域番号 |
20H02301
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小檜山 雅之 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (10333577)
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研究分担者 |
西 宏章 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00365470)
高橋 正樹 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (10398638)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 制震 / 協調制御 / 事業継続 / レジリエンス / 設備 |
研究実績の概要 |
2021年度は医療施設を対象に以下の研究を行った。まず、建物内の医療設備のフラジリティ曲線について、設計時の安全率を考慮に入れて再評価を行った。復旧時間短縮のボトルネックとなりやすい高置水槽については、OpenFOAMで建物応答波が入力したときの流体解析を行い、スロッシングとバルジングによる水槽の応力評価結果からフラジリティ曲線を再評価した。 また、前年度構築したレジリエンス性能を高めるLQR制御系設計法の有効性について検証した。制震装置を有する病院建物を対象に、基準法レベルの1.5倍の地震動を想定し検討した結果、提案手法は、設備の応答加速度低減を目的とした従来手法と比べ、復旧時間を短縮できることを確認した。 構造ヘルスモニタリングシステムはレジリエンス性能を高めると期待されているが、地震時に振動計測データを保存するサーバが損傷すると重要な情報が失われる恐れがある。また、停電状況下では建物外へのデータ送信も困難となる。サーバを多重化し、各サーバの耐震性を高めると稼働率は高まるが、コスト的に不利となりうる。そこで、サーバ群の損傷が進行しても残っている健全なサーバにネットワークのマルチパスを用いてデータを送り続けること、必要に応じデータやアプリケーションサービスのマイグレーションを行うことでこの問題を解決する方法を提案した。平常時に全サーバでアプリケーションを動作させることは省エネルギーや負荷分散の観点から避けるべきである。したがって、地震発生時に一斉に動作し、ハードリアルタイムに状況を監視しつつ、極力安全なデータとサービスのマイグレーションを達成する仕組みが必要となる。そこで、低コストなDockerコンテナによる分散型のDBやサービスアプリケーションの使用およびKubernetesを用いた管理を想定し、上記の仕組みを達成する方法を検討し、振動台実験の計画を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度、新型コロナウイルス感染症による影響で大学キャンパスへの立ち入りが制限されたため、令和3年7月までに後ろ倒す計画変更を行った。この関係で、振動台を用いた実験については工程が当初計画よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
実験の実施が遅れていることを踏まえ、想定する入力地震動の評価や設備のフラジリティ評価に関し、数値解析で行うことが可能な研究項目を拡充する対応を取っている。引き続きこの方針で進め、当初の目的である建物と設備の両方の機能維持性、早期修復性を高めるレジリエント振動制御法を確立を目指す。
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