研究実績の概要 |
安全・快適かつスマートな都市空間の創出に資するため、本研究は市街地(マイクロ)および都市(メソ)スケールにおける風況(風速・風向)を対象に、スパース(疎)に配置されたセンサーの計測データを入力値とする空間解像度およびリアルタイム性の高い分布推定手法の開発を行った。市街地や都市の瞬時気流分布は、主にその乱流的特性によって複雑な様相を見せる。しかし、それら気流は一定の条件においては、流れの空間・時間的な相関性・周期性から有限の代表的なパターンを示す。そのため、センサーから得た有限な観測情報からこれらのパターンの強度を特定できれば、市街地・都市気流のリアルタイムな分布推定を実現できる可能性がある。そこで本研究では、まず市街地スケールのモデル空間を対象に、固有直交分解(Proper Orthogonal Decomposition, POD)と線形確率推定(Linear Stochastic Estimation, LSE)を組み合わせた方法(POD-LSE)やGenerative Adversarial Networks (GANs)などの機械学習手法に基づく瞬時気流場の推定手法を開発した。また、そのセンサー入力値として複数時点の情報を用いることで推定精度を向上する手法などを開発した。また、POD-LSEを用いた都市スケールにおける風況推定手法の開発や必要データの抽出などを行った。さらに、センサーの計測精度やそれから得られる情報を最大化するため、風速センサーのデータ駆動型校正に基づく精度向上手法や、情報エントロピーやQR分解等に基づくセンサー配置の最適化手法などを開発した。
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