研究課題/領域番号 |
20H02310
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯塚 悟 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (40356407)
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研究分担者 |
廣井 悠 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50456141)
吉岡 英樹 国立研究開発法人建築研究所, 防火研究グループ, 主任研究員 (90462564)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 飛び火延焼 / 木造密集市街地 / 火災延焼予測 / 消防水利 |
研究実績の概要 |
2020年度は、主として、建物への飛び火過程(火の粉飛散から建物内部侵入・着火)の現象解明のための火災風洞実験と、CFDベースの火災延焼シミュレーションモデルに組み込む「飛び火延焼モデル」の開発を行った。 火災風洞実験では、建物屋根部分を通じた飛び火過程に着目し、燃焼させた木製クリブから発生・飛散する火の粉を実規模の屋根試験体(瓦屋根、屋根裏、天井板、軒天井、軒裏換気口などを再現)に対して浴びせかける実験を行った。瓦屋根は現代仕様のものを用いたが、その場合、地震などに起因して瓦屋根の脱落がない限り、屋根部分から建物内部へ燃え抜ける可能性は低い。そこで本実験では、軒裏換気口からの火の粉の侵入を検討することとし、軒裏換気口における金網の有無(金網無しは脱落時を想定)の比較を行った。実験の結果、軒裏換気口に金網が脱落せずに存在している場合には、火の粉が軒を介して建物内部へ侵入する可能性は低いことが明らかとなった。 飛び火延焼モデルに関しては、(1)火の粉発生、(2)火の粉飛散・沈降、(3)建物内部への火の粉侵入、(4)可燃物への着火、の4つの経路に区分してモデル開発を行った。これらのうち、(2)は火災延焼シミュレーションモデルで陽に解析可能であるが、(1)、(3)、(4)については、別途、モデル化の必要がある。(1)については火の粉の直径・密度、寿命、発熱速度、発生時間間隔を制御パラメータとするモデル、(3)については上述の火災風洞実験の結果を踏まえて窓(開口部)を介して火の粉が侵入するモデル、(4)については着火個数と火の粉の堆積確率を制御パラメータとするモデル、を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りの研究が実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に実施した火災風洞実験において、建物屋根部分を通じた飛び火が生じにくいことは明らかにできたが、建物のどのような部分で飛び火発生の可能性が高くなるかについては、今後、別の研究プロジェクトで実験を重ねる必要がある。
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