本研究では、高齢者介護環境における個別発生源の臭気対策だけではなく、高齢者介護環境全体の臭気を適切に制御・管理できる方法を提案することを目的とし、検討を行った。高齢者介護環境の臭気について、加齢とともに臭気強度の低下はみられるものの、不快原因物質としては共通して吉草酸があげられたことから、空間内でのイソ吉草酸の臭気基準値を求めた。高齢者介護環境の臭気の成分分析の結果、吉草酸はおむつ交換と清拭が同時に行われる場面や清拭の場面での検出が目立った。また、臭気質変化を図るための香りの適用には噴霧・設置位置の検討が必要であることから、吉草酸などの臭気と香り成分の空間内での拡がりを把握した。
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