研究課題/領域番号 |
20H02317
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
金 勲 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (00454033)
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研究分担者 |
鍵 直樹 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (20345383)
小笠原 岳 明星大学, 建築学部, 准教授 (30516232)
林 基哉 北海道大学, 工学研究院, 教授 (40320600)
柳 宇 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 教授 (50370945)
Lim Eunsu 東洋大学, 理工学部, 教授 (50614624)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エンドトキシン / 細菌 / 感染対策 / 室内環境 / 建築 |
研究実績の概要 |
1年目は関東地方の住宅43軒に対し、ハウスダストに含まれたエンドトキシン(ET)濃度を調べたが、COVID-19の影響により現場実測と空気採取が殆どできなかった。 繰越分と共に2年目(2021年度)には住宅で空気試料96試料(26軒+9軒)、オフィス6施設(11試料)を採取・分析した。空気試料とは別に、郵送で依頼できるハウスダスト試料を174試料(61軒)、またオフィスの空調ダクト内ダスト12試料を採取し分析を終えた。初年度の遅れ分を挽回しつつあり、最終年度までに当初の予定を達成できる見込みである。繰越分と共に2年目に行った研究の結果は以下通りである。 ①26軒(78試料)の調査:寝室(夏期1.99 [EU/m3],秋期1.56 [EU/m3])が居間(夏期0.25 [EU/m3]、秋期0.61 [EU/m3])より高かった。冬期の居間濃度は夏秋期より高かい傾向を示した。 ②9軒(18試料):寝室0.03~0.19 EU/m3、リビングで0.06~0.33 EU/m3。ダスト濃度は寝室では4,365~20,651 EU/g、リビングでは2,285~48,265 EU/g。ダスト濃度の平均は寝室、居間、脱衣場の順に高く、3カ所平均は夏期(11,732 [EU/g])よりも秋期(17,211 [EU/g])の方が高い。 ③オフィス:平均濃度0.13 (S.D. 0.19)EU/m3、最大0.63 EU/m3であり、IO比は平均1.3、最大6.3と室内濃度が高い傾向を示した。④ダクト内ダストの平均濃度は600 (S.D. 1374) EU/gとハウスダストに比べると高くはないが、最大値は4,249EU/gと住宅並の汚染が観察された。⑤今後、換気や掃除頻度、建物構造と空気及びダスト濃度との相関分析を行う。 3年目は早期に測定対象を選定し交渉し、空気試料100試料/年を目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の影響により、1年目は現場での空気採取が殆どできなかったが、2年目(2021年度)は住宅で96試料(26軒+9軒)、オフィス6施設(11試料)を採取・分析した。空気試料とは別に、郵送で依頼できるハウスダスト試料を174試料(61軒)、またオフィスの空調ダクト内ダスト12試料を採取し分析を終えた。調査では、空気及びハウスダストの採取と、住環境アンケートを実施している。 全体的には測定件数も増え、遅れていた分を取り戻しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
1) 測定対象の選定、建築・住環境に関する調査(金・小笠原・イム):調査は住居形態を問わず高齢者・児童施設、住宅、オフィスなどを対象とする。試料数100/年を目標とする。現場測定時には建物用途など建築概要や室内環境などを設問と観察によって調べる。建築、住環境及びアレルギー症などについて設問する。 2) 空気試料採取とエンドトキシン分析(金): 2年目(2021年度)は住宅で96試料(34軒)、オフィスで10試料などを採取・分析した。空気試料とは別に、郵送で依頼できるダスト試料を174試料(61軒)採取し分析を終えている。本年度は早期に測定対象を選定し交渉する。空気試料も100試料/年を目標とする。 3) 培養法・遺伝子分析法による細菌濃度測定(柳): 培地を用いた培養法及び遺伝子分析法(rt-PCR法)による細菌の定性定量を行う。PCR法はET試料の1~2割を実施、空気試料には遺伝子フリーのPFTEメンブレンフィルタを用いる。測定結果はET濃度と比較し、細菌汚染度との相関を調べる。4) 浮遊粒子状物質(PM10 / PM2.5)濃度(鍵):環境基準指針が定められているSPM(浮遊粉じん)に加え、吸入性のPM2.5について測定を行う。測定にはエアロゾルモニタDRX8533(粒径別質量濃度)及びTR12A(個数濃度)を用いて連続測定する。5) 温熱環境(小笠原)、換気環境(林):微生物は湿気と換気状況に密接に関係するため、換気やCO2・温湿度などの把握を行う。 6) 相関分析(金):室内空気中ET濃度の実態を把握するとともに細菌濃度、空気環境測定、設問から得られた環境要素、室内環境因子のデータと細菌汚染度の相関分析(SAS- JMP11)を行う。
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