研究課題/領域番号 |
20H02324
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉岡 陽介 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (00361444)
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研究分担者 |
加戸 啓太 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (60727379)
宗方 淳 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (80323517)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中心視 / 周辺視 / 空間知覚 / 歩行 |
研究実績の概要 |
日常的な空間把握において中心視と周辺視が果たしている役割を明らかにすることを本研究の目的とする。人間がある環境の中を歩行するとき、視野の中ではダ イナミックな環境情報の流動が生じており、その動的変化に応じた積極的な情報獲得が視野の各部で展開されている。こうした状況下での中心視と周辺視の機能 を探ることで、能動的な空間把握における中心視・周辺視の役割に関する知見、特に、歩行空間の計画や設計に直接的に援用できるような有益な知見を導き出すことができる。
本年は、1)周辺視による経路形状の把握が空間同定の精度に与える影響、および2)周辺視によるランドマークの把握が自己位置推定の精度に及ぼす影響につい て検証を行った。個別に設定した仮説に対して、制限する視野の部分の位置や大きさを調節しながら実験条件を設定し、被験者30人程度の実験を繰り返した。その結果、1)方位などの抽象的な座標を基準に自身を定位する傾向にある被験者は、周辺視を制限すると一度通過したことのある街路を同定するまでの時間が有意に伸長することがわかった。また、2)特定の視野領域においてランドマークを把握できることが、空間定位の精度に影響を与えることが明らかとなった。特に、通常の視野状態での空間定位において、周辺視野を使う傾向にある被験者と中心視野を使う傾向にある被験者では、ランドマークを表示させる領域を変えることによる空間定位の精度への影響に差が生じることが示された。本研究で得られたこれらの知見は、見慣れた場所に「新鮮さ」を作りだすためのデザイン手法や、逆に、迷いにくい街路を計画するための知見としても応用できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの影響による機器流通の問題も解消され、計画通りに問題なく研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、これまでの成果から得られた追加の仮説および検証テーマに対して実験を実施する。
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