研究課題/領域番号 |
20H02326
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松村 秀一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任教授 (00199853)
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研究分担者 |
権藤 智之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (50608396)
江口 亨 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (60599223)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 技能者 / 建築生産 / 女性 / 外国人 / DIY |
研究実績の概要 |
(1)本研究課題に関わる実践に取り組む専門家を招いた研究会を立ち上げ、重要な知見を共有するとともに、シナリオ作成の方向性に関して検討を行った。具体的には、デジタル・ファブリケーションやロボットの活用による人の技能の必要性への影響、DIYリノベーションの普及の様相、異業種連携型職人組織の可能性、職人数予測と人材育成策等について有用な知見を整理した。 (2)文献調査とインターネットによる資料調査により日米英におけるDIY事例等とその特徴を明らかにした。それを成立させる環境として、アメリカおよびイギリスのハードウェア・ストアの売上高の増加傾向等を明らかにした。また、アメリカのDIYサイトではメンテナンスの事例数が多いこと、アメリカのDIYワークショップでは仕上げ以外の建築本体に関する内容が少なからず見られること等が明らかになった。イギリスのDIYワークショップでは、子供を対象に入れたものが等、種類が豊富であることも明らかになった。 (3)DIYによる内装工事を実践する人々を建設技能者へと育成することを想定した基礎的な国内調査を行い、ホームセンターの店員の商品知識、施工時の安全性に対する意識の高さ、アドバイスは商品に関するものに留まること等を明らかにした。 (4)日本の建設業における外国人技能者活用について、関連する制度を整理し、鉄筋工事会社、溶接工事会社、監理団体に聞取り調査を実施し、技能実習制度、特定技能制度に対する専門工事会社の意向や外国人技能者受入の実態を明らかにした。また、比較対象として、韓国における外国人技能者受入制度やミャンマーにおける訓練期間の概要についても他研究者と連携して既往の知見の整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のため海外調査は令和3年度以降に行うこととし、複数の専門家による研究会の運営によって、研究の枠組みや成果とすべきシナリオ作成の準備を十分に進められた。また、文献およびインターネットを通じた資料調査等により研究目的に則した成果を得ることができた。女性DIYerと外国人の建築技能者という本研究が掲げる二種類の人材に関しても、国内調査により所定の成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
女性と外国人の習得技能と入職意欲の実態に関する調査 DIYを中心に建築現場に関わり始めた女性と、特定技能の在留資格取得を目指す外国人の二種類について、当事者及びその教育・育成を行っている組織を対象として、詳細な聞取り調査を実施し、習得している知識の種類と内容、これまでに受けた技能訓練と建築現場の実践経験、将来建築現場を担う人材になる意欲とそのための必要条件、建築現場での新たな技能者としての実務を経た後の活躍の場のイメージを明らかにする。 調査対象組織は、ホームセンター等の運営するDIY教育機関、女性大工や他の女性職人の集まり、フィリピン、タイ、ベトナム等で日本企業が出資して数年の教育実績を持つ教育機関の関係者等を想定している。この成果に基づき、建築現場を担う人材としての女性及び外国人向けの技能習得シナリオ及びキャリア・アップ・シナリオ複数種類を立案する。
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