研究課題/領域番号 |
20H02326
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松村 秀一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任教授 (00199853)
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研究分担者 |
権藤 智之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50608396)
江口 亨 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (60599223)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 技能者 / 建築生産 / 女性 / 外国人 / DIY |
研究実績の概要 |
①DIYによる住宅改修の市場を調査するため、予備的なアンケート調査を実施し、インターネットを通じ297件の回答を得た。DIY経験者は全体の約3割で、彼らに詳細な質問をした。その結果、DIYのノウハウを得る手段で最も多かったのが「Youtubeなどの動画」で約6割、DIYを行う動機で最も多かったのが「修繕が必要だから」で約65%などの結果が得られた。また、DIYが可能な賃貸住宅7件を対象とし、その居住者に対する支援を分析して建設技能者の役割を考察した。壁紙などの仕上げだけではなく配管や間仕切りの改修を伴う場合、DIYを計画中の段階で不動産所有者等が居住者に専門家である建設技能者を紹介していること、DIYの難易度や計画の実現可能性については未経験者では判断できないとことが多いためその技能者が専門的な助言や提案をしていることを明らかにした。 ②日本の建設業における外国人技能者活用について、外国人技能実習機構や出入国在留管理庁による統計情報を元に、国別、職種別の外国人技能者数の推移を明らかにした。2020年度に実施した鉄筋工事会社、溶接工事会社に続き、2021年度は、型枠工事会社3社に対してインタビューを実施し、外国人技能者活用の取組みや課題について明らかにした。外国人技能者受け入れ国としてタイを選び、タイで活動する日系の総合建設会社1社、大手ハウスメーカー1社に対してオンラインでインタビューを実施し、外国人技能者受入の実態の一端を明らかにした。 ③全国で活動する女性職人(大工、左官職)20名以上を発掘し、所属する組織の理解を得た上で、詳細な聞取り調査を行った。動機における積極性、男女差に関する認識、工事現場や職場における問題点等を明らかにすることができた。また、一部の調査対象職人に関しては、現地での業務内容の調査も実施し、上記の聞取り調査を補った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 一部海外調査は割愛したが、それを補って余りある国内での実態調査ができた。DIYer、外国人技能者、女性職人のそれぞれについて、アンケート調査、聞取り調査、現地調査の対象を適切に選ぶことができ、そうした3種が、新たな技能者への入り口として順調に拡張するための要件等を明らかにすることができた。これは研究計画全体の目的に適った成果と言える。
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今後の研究の推進方策 |
①外国人技能労働者について、国別・職種別・制度別の認定数・就労数を整理すること、および業界団体および工事会社に対する聞取り調査により、特定技能制度の可能性を把握する。 ②主として1990年代以降に定着した新たな職種について、業界団体や工事会社等に対する聞取り調査を行い、政府が進めているキャリアアップシステム等の課題を見極める。 ③DIYを行う人々を建設技能者へと育成するための支援方法について、ホームセンターや賃貸住宅関連業者を対象とした実態調査に基づいて考察する。 ④女性技能者およびDIYerのプロ化である「コミュニティ大工」に対する聞取り調査、施工現場調査を実施し、その分野への新たな参入の道筋と障害の程度を明らかにする。 ⑤上述の成果に基づき、新たな建築職人のあり方に関する考察を単行本の原案としてとりまとめる。
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