研究課題/領域番号 |
20H02333
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高口 洋人 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90318775)
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研究分担者 |
吉村 靖孝 早稲田大学, 理工学術院, 教授(任期付) (00712035)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 仮設住宅 / 備蓄 / ゼロエネルギー住宅 / エージェントシミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究は、自然災害発生時、被災者に対していち早く提供可能でエネルギー途絶時においてもエネルギー自立可能な備蓄型の仮設住宅を開発し、その供給方法を検討することである。 既存のコンテナ型仮設住宅に対し、実際に住まえる什器等を自作した上で、太陽光パネルを設置してエネルギー自立型の仮設住宅の開発を目指した。太陽光パネルに関し、人力で収納可能にする仕様変更、および架台材料の材料不足および価格高騰により工事の遅延が発生し一部工事の2023年度にずれ込んだ。一方、概ねの改修は終了したことから、2022年の早稲田大学理工系学園祭「理工展」に展示することで、備蓄場所から被災地への移動/設置の模擬実験を行い、5トンユニック車で1個のWEEBを20分程度で荷下ろしから設置を行うことが可能であることを確認した。 WEEBの備蓄供給計画に関しては、マルチエージェントシミュレーションを用いて最適な備蓄供給計画の検討を行った。シミュレーションでは令和2年7月豪雨と平成30年7月豪雨で供給された建設型仮設住宅(以下、建設型)をWEEBに置き換えて再現し、提供までの日数について建設型と比較した。30パターンの備蓄計画でシミュレーションを行った結果、15パターンにおいて令和2年7月豪雨では26日、平成30年7月豪雨では8日間、建設型より早く提供できることがわかった。供給路に関する差異は、建設速度による建設地での渋滞がボトルネックとなり影響しないことがわかり、建設地をより分散、あるいは建設速度を高めることが重要であることが分かった。金額及び日数的な従来型の仮設住宅の差異は、備蓄型の方が213万円/戸、安価に供給でき、提供日数に関しも備蓄型が23日早く提供できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
太陽光パネルを人力でお持ち上げることを可能にする仕様にするため、架台の再設計に時間を要した。また、材料付属による調達困難により、日程や工事金額を再調整したことで工事に遅延が発生した。 温熱環境の実測に関しても、工事の遅延に伴い実測の日程を決定することができず行えていない。備蓄供給計画に関しては、概ね終了しているが、想定している備蓄型の設置速度や走行速度などを実測に置き換えて再計算予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度8月までに遅れていた工事を完成し、環境性能についての夏期検証を実施する。 工事に関して、残りは太陽光パネルの製作のみであるため、再設計を終わらせ次第工事を進め、工事終了後は室内温度等の実測により外皮平均熱貫流率を算出し、断熱性能を評価する。 また、2022年度に行ったシミュレーションでは被仮設住宅仮設住宅設置速度がボトルネックとなり、備蓄供給の場所や備蓄数を変更しても、最終的な供給速度に改善が見られなかった。そこで、2023年度は法律で定められているトラック運転手の稼働可能時間の適用や、電気系統の接続業者や水道業者へのヒアリング調査で設置時間を明確にするなどし、現地での設置速度を詳細に検討した上で、改善する。
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