改めて、建設型仮設住宅の建設費など費用を調査し、西日本豪雨において広島県で供 与された建設型の単価は約 631 万円であるとわかった。また、解体費はリース契約だと1戸当たり平均約 62 万円であった。また、建設型仮設の発注は発災の20日後以降であることがわかり、備蓄型のベンチマークとした。2018年7月の西日本豪雨をモデルとして、建設型を 備蓄型(WEEB) に置き換えて供給することを、シミュレーションにより再現した。その結果、WEEB を用いることで被災者の仮設住宅入居待ち日数は約 33%改善されることがわかった。これは、発災から仮設住宅の入居までに、建設型であれば平均 68 日かかるものが、45 日に改善されることを意味する。また、これらの短縮による避難所削減費用の低減を含め、WEEBの経済的効用を検討した結果、WEEBの費用が建設型を下回る結果となった。また、実証棟WEEBを仮置きサイトから早稲田大学キャンパスまで輸送し、輸送による手間や時間などを検証した。その結果、WEEB の積み込みは準備から発車まで約35 分、WEEBの積み下ろしは準備から完了まで55 分かかることが明らかとなった。 2023年は、交通手段などを再検討し、発災から入居までのリードタイムを備蓄型と建設型で比較検討を行った。その結果、概ね備蓄型は建設型よりもリードタイムを最大で 75%短くでき入居時期を早めることができる事を確認した。一方、備蓄型だけでは数が足りない場合、追加生産が必要になるが、恒設転用可能な性能としていることから従来のプレファブ型の仮設住宅より生産に時間がかかるため、従来型との最適な組み合わせを社会の仕組みとして整備する必要性が明らかになった。 また、備蓄型仮設住宅を搬送するトラックの制約を検討した結果、ボトルネックは被災地での設置速度であり、設置作業の効率化対策が今後の課題である
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