研究課題/領域番号 |
20H02336
|
研究機関 | 国立研究開発法人建築研究所 |
研究代表者 |
木内 望 国立研究開発法人建築研究所, 住宅・都市研究グループ, 主席研究監 (80251346)
|
研究分担者 |
中野 卓 国立研究開発法人建築研究所, 住宅・都市研究グループ, 研究員 (30837472)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 浸水リスク / 耐水建築 / 費用対効果 / 規制・誘導策 / 水害対策 |
研究実績の概要 |
分譲マンション(2タイプ)を対象に、典型的と思われるモデルを構築し、浸水対策内容を検討し、対策工事の実施費用とその費用対効果等を試算した。国土交通省及び経済産業省は2020年6月に「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」を作成・公表し、このガイドラインは電気設備を中心とした浸水対策を示しつつも、建物全体の浸水対策に準用できる内容となっている。しかしながら、浸水対策工事の実施には、区分所有者の合意形成が必要であり、その際に対策目標とする浸水深の設定や、対策の費用対効果の検証が重要となる。 検討対象とするマンションモデルは、商業系用途地域に立地する「都心型」と、住居系または工業系の用途地域に立地する「郊外型」の2タイプを想定し、それぞれについて規模、設備の設置状況、雨水貯留槽の有無、駐車場の形式などについて、典型的と考えられるものを設定した。さらに、これらマンションが立地する市街地での水害発生状況を踏まえ、典型的な3タイプの浸水ハザードを想定した。 2つのマンションモデルを対象に、3タイプの浸水ハザードによる被害を想定して、浸水時の浸入経路と被害の範囲及び浸水防止対策等を検討し、段階毎にメリハリをつけて被害復旧費用と対策工事費用を試算した。 浸水対策のための改修費用(対策費用)、浸水時に修復等に要する費用(浸水深別)、及び浸水対策に伴う修復等費用の軽減額を浸水ハザード別・浸水深別に推計した。さらに、滋賀県「地先の安全度マップ」相当のデータにおける発生頻度毎の最大浸水深の予測値を用いて、一定の浸水リスクがあり、集合住宅の立地が想定される世帯密度の高いメッシュを対象に、浸水対策の費用対効果を試算・評価した。 これらにより、浸水対策の費用対効果を推計する手順と方法をモデル的かつ概略的に、求めることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外現地調査については、コロナ禍を受けて実施できなかったが、マンションの浸水対策とその費用対効果のモデルスタディについて、想定以上の成果をあげることができ、日本建築学会技術報告集に投稿した。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き研究計画に沿って、都心型マンションモデル1階に入居する事業所の浸水対策とその費用対効果について検討する。また、コロナ禍の状況を踏まえて、海外調査についても実施の可能性を模索する。
|