本研究は17世紀から20世紀前半までの台湾史を、軍事的な秩序回復から以後の地域開発までを繋げて捉える視角から展望しなおす領域史研究の試みである。17世紀における鄭氏政権の打倒から清朝の台湾統治確立と朱一貴事件平定の過程、18世紀の林爽文事件や19世紀の戴湖春事件の鎮圧などは軍事的な武装解除と以後の地域開発が主導的な商人資本を強化するパタンをとる。この視点からは19世紀末の台湾割譲後の抗日武装集団平定の集結までが連続的な歴史過程と言える。対して20世紀前半の開発プロセスはなこの在来メカニズムを、近代的な地方行政とインフラ構築に支えられた日本産業資本のそれへと手渡すものであった。
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