研究課題/領域番号 |
20H02341
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中谷 礼仁 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30267413)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 集落調査 / COVID-19 / フィールドワーク / 高地集落 / 水系調査 |
研究実績の概要 |
2020年来、世界的なCOVID-19発生のためネパール現地調査が不可能な状態が続いていた。2022年3月より条件付きで入国が可能となった。本状況下で、ネパールの現地調査の可能性を探りつつ、日本国内における高地集落を事例として、集落研究のための比較方法論を立案、それによって国内調査を行う方針とした。本年度の研究実施計画にもとづいてその実施成果を以下に報告する。 1. 調査方法の検討: 対象地域を河川を用いた歴史的産業を俯瞰できる中国地方の高梁川、日野川、斐伊川、江の川、芦田川とした。5月に現地調査方法を精査した。昨年度の実施調査の結果に基づき、先行研究や報告を用いて、地形・地質、交通、災害、地誌、産業、集落、民俗の各項目について文献調査を行った。 2. 夏期長期調査の実行: 3回の現地調査を行った。5つの河川を中国地方を南北に跨ぐように横断し、33ヶ所の集落を訪問し、現地情報を事前調査に補足した(6月)。特に同地の標高500メートルを超える高梁川、日野川、斐伊川上流部の10ヶ所について特にたたら製鉄文化を中心とした産業構造と河川による経済・交通・集落の発達について調査を行った(8月)。 3. 文献ならびに聞き取り調査の実行: 特に産業従事者を中心として、生業の歴史について情報を補完した。 また、2022年6月からネパール大使館など、アンナプルナ保護区入域証の情報入手を試みたが返事はなかった。さらに現地協力者の親族に危篤者が発生し、現地協力がペンディングされた。粘り強く現地調査を検討したが、日本側の同行者の健康や予期せぬ問題の発生などが依然想定されたため、ネパール調査を7月時点で断念するに至った。ここで、国内調査旅費以外の未使用分を国庫に変換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究が当初にめざした、ネパール高地トクチェ村周辺の定住/非定住の研究 高地アジア交易路沿の生存様式解明については、申請時では発生していなかったCOVID-19による予期せぬ海外調査の困難のため、結果として実現しなかった。 海外調査の可能性を探りつつ開始した国内における比較調査については、実施計画を年度に立てそれに従って十分に達成したと考えた。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況にて報告したように、当初の目的が海外調査にあったためCOVID-19の影響によりその実行を中途で断念せざるを得なかったことは断腸の思いであった。 国内における比較調査については、年度ごとに報告書をまとめ、関係機関に送付した。さらに査読論文や学会での発表を行なった。2022年度予算を用いて関連研究において発表を継続する予定とした。
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備考 |
2021年度調査内容を報告書化したもの。関係機関に送ったほか、Webサイトにて確認できるようにしている。 https://www.nakatani-seminar.org/outcomes/#2021内にあり。
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