本研究は申請後に発生したCOVID-19によって現地調査が不可能となった中央ネパールの一集落の総合調査方法を国内の高地集落の分析に用い検討したものである。経済活動と流通経路とを含んだ広域的理解による高地の生業基盤の把握を普遍的方法として捉えた。 日本における研究対象地として高地において特色ある産業を歴史的に有していた秋田県阿仁川流域(マタギ)、徳島県那珂川流域(林業)、中国地方高梁川、日野川、甲斐川流域(たたら製鉄)を取り上げ、それら産業のための流通と生活様式、生産連関について比較考察を行った。結果として高地、低地間に相補的な産業流通が歴史的に存在し、その中間に交易用の地域があることを見出した。
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