研究課題/領域番号 |
20H02347
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡邉 保真 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (60736461)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 放電気流制御 / 高速流体力学 / 放電プラズマ / 空力制御 / 極超音速 |
研究実績の概要 |
令和3年度は主として令和2年度に引き続き1. 極超音速機の機首部を模擬した模型を用い、放電を利用した気流制御特性の調査、及び2. 数値解析により気流制御特性の予測と実験との比較をより詳細に実施した。 1. 将来型宇宙輸送機・極超音速輸送機への応用を見据えた高速空力制御手法の開発のため、従来に比べより高電圧で安定したパルス放電を生成可能な放電制御装置を開発・改良した。極超音速機機首部を模擬した半頂角20度の二重円錐形状の模型を製作し、放電による気流制御効果を調査した。東京大学柏極超音速高エンタルピー風洞において、マッハ数7.0、よどみ点圧力950 kPa、よどみ点温度580-620 Kの気流中で放電プラズマを生成しプラズマによる気流制御特性計測を昨年度に引き続き詳細に行った。実験ではプラズマ下流側での高速圧力計測及びシュリーレン法等による流れ場の可視化を実施した。今年度購入した高速カメラによりプラズマの気流中での挙動の直接計測と、放電開始時と終了時における周囲高速流れへの影響を中心に調べ、電極近傍から発生・伝播する衝撃波のより詳細な挙動を明らかにした。2. 極超音速機機首部での放電プラズマによる気流制御効果を予測するため、 数値解析による現象の予測および実験との比較を実施した。昨年度までに実施した、電子イオンの移流拡散方程式および電場の支配方程式をベースにした安定性解析から得られた放電初期挙動と放電経路簡易予測結果、および、実験により得られた放電挙動に基づきプラズマへの投入電力に対する周囲の流れへの影響と、航空機の姿勢制御に直接寄与する圧力分布への変化を解析的に調べた。実験および数値解析から、プラズマにより放電領域周辺と特にその下流で圧力変動を引き起こすことが可能であり空力制御へと応用できる事が判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は概ね当初計画の通り実施できた。令和4年度は令和3年度までに確立した気流制御効果の計測手法および製作した高電圧放電制御装置を用い、空力制御効果および高速姿勢制御への応用を見据えて実験・解析両面から研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は急速応答型気流制御実証実験とパルス放電による省エネルギー放電気流制御の確立を目指して研究を進める。実験的アプローチ:令和3年度までにより広範な気流条件でパルス放電を生成可能な放電回路を開発し、併せて気流制御の非定常特性を観測するための計測手法を確立できた。令和4年度はこれらを用い、パルス放電による気流制御効果の解明を進める。解析的アプローチ:令和3年度までに簡略化された機首形状での放電開始時解析及び定常放電時の流れ場挙動の数値解析を実施した。令和4年度はこれらを融合し、必要エネルギーを削減しつつも同等な制御効果を得るための制御条件解明を目指して研究を推進する。
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