研究課題/領域番号 |
20H02349
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松岡 健 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40710067)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | デトネーション / 反射往復 / シュリーレン光学可視化 |
研究実績の概要 |
爆轟波(ばくごうは)を用いた爆轟燃焼器は、高速燃焼による燃焼器の小型高出力化と既存燃焼サイクルで最高の理論熱効率を実現する。近年の激しい競争下においても、非定常燃焼器特有の煩雑さにより爆轟燃焼器の潜在的優位性(燃焼器の小型高出力化と高い熱効率)は実験的に確認されていない。 本研究の最終目的は、この優位性(供給ガス全圧に対する高い既燃ガス全圧)を実験的に立証し、実用化研究へつなげることである。この最終目的に対して、独自に提案した反射往復爆轟燃焼器を用いた3軸推力測定、燃焼器内部の圧力測定・可視化実験を同時に実施し、既燃ガス全圧の高精度推定法の確立および直接可視化観測によるその物理的な根拠付けを行うことが本研究の目的である。 当該年度では、シュリーレン光学可視化および化学発光観測の同時計測から、反射往復する爆轟波の枚数と伝播速度の支配パラメータを明らかにした。具体的には、燃焼器内を伝播する爆轟波の波数n、燃焼器長さWおよび混合気充填高さhで表現される無次元爆轟波伝播距離Π=W/(nh)がおおよそ3で維持されることが明らかになった(Taguchi et al., Combustion and Flame, 2022)。また、ロケットエンジン性能を評価するため、燃焼器周囲圧力50kPa(大気圧の50%)の低圧力環境下での推力測定実験を実施した。その結果、実験比推力は理論値と比較して90%以内で一致した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終目的「供給ガス全圧に対する高い既燃ガス全圧」に対して、混合器供給条件に対する爆轟波の伝播モードの整理は第一の課題であった。光学可視化実験から支配パラメータを整理し学術論文(Taguchi et al., Combustion and Flame, 2022)としてまとめた点で、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度では、爆轟波伝播モード(波数、伝播速度)を明らかにするため、燃焼器全体の数センチ程度の領域に焦点を当てた巨視的な光学可視化実験を実施した。今後は、爆轟波自体の強さ(衝撃波マッハ数、拡散燃焼の程度)を詳細に調査するため、数ミリ程度の領域内の局所的な衝撃波および発熱量の可視化を実施する。燃焼・酸化剤噴射用インジェクタの形状が爆轟波構造に与える影響を明らかにし、全圧損失の主要原因を特定する。
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