研究課題/領域番号 |
20H02352
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
遠藤 琢磨 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (00211780)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | デトネーション / 発生 / 伝播 / 衝撃波 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は以下の2つである。 ①火炎・衝撃波相互作用を活用するデフラグレーション・デトネーション遷移(DDT)助走距離を短縮させる技術を研究・開発する。 ②デトネーション中を横向きに伝播する衝撃波を次々に送り出し、デトネーションの加速・緩和を小刻みに繰り返させ、平均として定常伝播速度(チャップマン・ジュゲのデトネーション速度)よりも高速でデトネーションを伝播させる技術を研究・開発する。 2年目である2021年度は、昨年度に引き続き、静止予混合気を使った基礎的な実験を行い、変化させるパラメータに結果がどう依存するかを調べた。 DDT助走距離の短縮に関しては、2か所で独立に点火できるT字型の管を使った実験装置を使用し、2カ所で点火する時間差を系統的に変化させ、現象の変化を調べた。使用したガスは化学量論比の水素・空気混合気である。結果として、水素・空気混合気では反応が緩慢なため、火炎・衝撃波相互作用によるデトネーションの発生は困難であるとの感触を得た。また、火炎加速にとってより有利なレーザー点火の導入を試みるため、その準備研究も開始した。さらに、現象の可視化の準備として、アクリル管内の水素燃焼を観測するためのイメージインテンシファイアを購入した。 デトネーションの高速化に関しては、デトネーションのセル幅と同程度の高さの側壁上の段差がデトネーションの伝播に与える影響を側壁上の煤膜と側壁に直交する方向の煤膜を同時に使って詳しく調べた。その結果、前向きのステップあるいはスロープではオーバードリブン状態を得ることはできないが、後ろ向きのステップあるいはスロープを用いると短い減速領域の後に、減速領域の約10倍のオーバードリブン状態が得られることを発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
デトネーションの高速化に関しては、前向きの障害物がほとんど伝播に影響しないという予想外の結果で研究の進展が遅れていたが、後ろ向きの障害物によって減速領域の約10倍のオーバードリブン領域を作り出せることが見出され、当初の予定よりは遅れているが、目的達成に向けて進み出している。 デフラグレーション・デトネーション遷移(DDT)助走距離を短縮させる研究に関しては、混合気の起爆性が想像以上に重要であるという結果になり、なかなか目的達成に向けて進み出せない状況が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画では、流動気体中で連続的に現象を引き起こすことを最終目的としていたが、静止気体中で確実に現象を引き起こすことを目的とするよう計画を変更する。デトネーションの高速化に関しては、高速化現象を引き起こすためのパラメータが決まりつつあり、物理現象としては、当初の目的通りの現象を引き起こすつもりである。デフラグレーション・デトネーション遷移(DDT)助走距離を短縮させる研究に関しては、まずは起爆性のやや高い混合気を使い、物理現象としては、当初の目的通りの現象を引き起こし、その現象の詳細な過程を解析することで、起爆性の低い混合気での技術開発の可否を明らかにするつもりである。また、火炎加速にとってより有利なレーザー点火の利用も視野に入れている。
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