研究実績の概要 |
実用小型固定翼無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle, UAV)は,滑走路を確保できない環境,たとえば広いが表面に凹凸が多い地面や草地であったり,広さも表面の滑らかさも期待できない狭小地などでの運用を望まれる場合が多い.このような環境下における機体の発進にはカタパルトを利用できるが,機体の回収が大きな問題となる.この解決策として,フラットスピンを用いた定点への自動垂直着陸法を提案し,その研究を継続実施した. 本年度は,小型 固定翼 UAV のフラットスピン中のデータを飛行試験を実施して取得し,フラットスピンしながら単純に降下する SD(Simple Descent) モードと,フラットスピン中の大きなピッチ運動によって発生する非定常揚力を利用して垂直な降下方向に対して横に移動するLT(Lateral Transfer)モードの2つのモードについて飛行データを取得し,飛行データからシミュレーションに使用するための空力モデルを構築した. さらに,構築した空力モデルを6自由度の運動方程式の空気力項として利用することによって,フラットスピンシミュレータを構築した. LTモードを利用してフラットスピン中に機体を水平面内の定点に誘導・制御する誘導・制御則を設計するとともに,風を考慮してフラットスピンを開始すべき位置の決定法を考案した.誘導・制御測を組み込んだフラットスピンシミュレータを用いてモンテカルロシミュレーションを行い,風速4m/s程度において,半径3.5m程度の円内に着陸できることを確認し,本方法の有効性を確認した.
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