研究課題/領域番号 |
20H02360
|
研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
山田 和彦 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (20415904)
|
研究分担者 |
永田 靖典 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 特任助教 (20635594)
高橋 裕介 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (40611132)
佐藤 泰貴 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (70726760)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 大気圏突入技術 / 高速流体力学 / 柔軟構造 / 惑星探査 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、新しい大気圏突入技術として注目されている展開型柔軟エアロシェル技術をさらに進化させて、新たな応用範囲を切り開くことを目的としている。特に、1)大気圏突入中に展開エアロシェルを切り離すことで、探査機を惑星周回軌道投入を実現できる抗力変調型のエアロキャプチャ技術と、2)超軽量で、シンプルかつロバストな展開型エアロシェルが実現できる可能性があるSMA(形状記憶合金)型の展開エアロシェル技術に取り組んでいる。 2021年度の最も重要な成果は2021年12月に実施した極超音速風洞試験である。上記の1),2)の両テーマともに、2020年度に実施した極超音速風洞試験の結果を踏まえて改良した模型や試験システムを用いて、JAXA調布のΦ1.27m極超音速風洞にて風洞試験を実施した。1)の抗力変調型のエアロキャプチャに関しては、6分力測定、及び、画像計測系を改善し、エアロシェル分離時の挙動をより詳細に測定することに成功した。また、エアロシェルサイズを変更した実験を行い、2020年度の成果と併せて、エアロシェル形状の影響についても知見を取得できた。2)のSMA型エアロシェルについては、2020年度の試験時の課題であったフラッタ現象は、模型を改良することで回避でき、極超音速気流中での空力加熱によるSMA型エアロシェルの完全受動展開実験に成功した。展開中の流れ場の可視化、6分力測定、温度履歴の測定を実施し、模型形状と展開挙動の関係や空力特性を取得することができた。 それと平行して、抗力変調型エアロキャプチャに関しては、火星以外の天体(金星)への適用について、軌道解析による評価を行った。また、FSI(Fluid-structure Interaction)解析による柔軟エアロシェルと高速流体の連成解析ツールの構築も進め、これらの現象をより深く理解するための準備を整えた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本課題に対する研究活動は順調に進展している。3年計画における重要なマイルストーンとしていた極超音速風洞試験を最終年度を残して完了し、すでに想定どおりのデータが取得できている。それと平行して実施している、数値解析、構造解析、軌道解析も着実に進められており、最終年度では、極超音速風洞試験結果と融合して成果をまとめていく。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度に重要なマイルストーンであった極超音速風洞試験が完了したことで、最終年度である2022年度は、その試験結果をフォローする形で、数値シミュレーションに力をいれて、極超音速気流中での柔軟エアロシェルの挙動や空力特性に関する現象理解を進めていく。本課題のもう一つの重要課題であるFSI解析による柔軟構造物と極超音速気流の連成解析手法の確立とそれを用いての現象理解を確実に進めるとともに、抗力変調型エアロキャプチャに関しては軌道シミュレーションの高精度化や実機適用したときの分離機構の検討、SMAエアロシェルに関しては、構造解析によるSMAエアロシェルの受動展開特性の理解や耐空力荷重構造強度の把握やその向上を目指すコンセプトの検討など、さらに先にを見据えた研究にも取り組んでいく。最終年度なので、上記の成果をまとめて、学会発表と論文投稿を積極的に行っていく。
|