研究課題/領域番号 |
20H02361
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
藤田 和央 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (90281584)
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研究分担者 |
野村 哲史 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (80709361)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 火星探査 / 大気突入システム / 実在気体効果 / 輻射加熱 / 非平衡 |
研究実績の概要 |
2020年度中に製造する計画であった膨張波管出口膨張ダクト計測装置の開発,並びに当該装置を用いて実施する計画であった膨張波管実験が,2020年度のコロナウイルスの流行により実施できないことが判明したため,これを 2021年度へ繰り越しとし,これに代わって,2021 年度に実施予定であった,複雑な熱化学過程を伴う流体現象とCO2およびCOからの輻射モデリングの改善を行った.先行研究においては, 模型背後の膨張流において従来のCO+O再結合速度係数に大きな誤差がある可能性が発見されたものの, その定量化には至っていなかったところ,化学反応のレートを作為的に変化させることによって,当該化学反応の増減によって, 模型背後の輻射強度に支配的な影響が発生することが確認された. なお,軽ガス銃において,火星大気突入等価環境(圧力 11 kPa,速度 4.2 km/s)が安定的に再現できない課題があったため,軽ガス銃,模型,およびサボに大幅な改良を加えて,試験環境の安定化を図った.具体的には,バレルとサボ間のギャップの厳密な管理,サボの設計変更による剛性向上・分離安定化,及び模型とサボのクリアランス管理等である.合わせて,射出される模型の観測機能向上(トリガーピックアップ機能の強化,高速度カメラの導入,および同期の改善など)を計った.これにより,安定的に火星大気突入等価環境を再現できるようになり,速度決定精度が改善された.輻射分光観測システムとして,まず可視分光システムであって,マルチポイント(多地点)同時観測可能な 7x7 マトリクスの光ファイバーと,イメージング光学系を開発し,これを用いた多地点同時分光システムを開発し,軽ガス銃に観測部に設置して,予備試験を行い,射出されたカプセル模型周りの発光分布取得が可能であることが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルスの流行によってサプライチェーンや製造プロセスに問題が発生し,当初計画していた膨張ダクトの設計・製造および観測システムの開発がすすめられず,これを 2021 年度作業として先送りしたが,代わりに 2021 年度作業予定であった,複雑な熱化学過程を伴う流体現象とCO2およびCOからの輻射モデリングの改善を行ったため,全体計画としては順番を入れ替えただけであり,予定通り進捗していると認められている.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度中に製造する計画であった膨張波管出口膨張ダクト計測装置の開発,並びに当該装置を用いて実施する計画であった膨張波管実験が,2020年度のコロナウイルスの流行により2021年度へ繰り越しとなったため,2021 年度当初にこれらを実施する.これに伴い,2020 年度経費の一部を繰り越す(1,934,520円).なお,この変更は 2020 年に実施する計画であった作業を 2021 年度に実施するものであり,代わりに 2021 年度実施予定であった作業を 2020 年度に完了したため,全体計画への影響はない.
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