研究実績の概要 |
本研究の目的は、先行研究で開発を進めてきた堆積層内精密探査用ソーナーシステムを実海域に展開し、得られるデータを社会において利活用するための課題を洗い出し、またそれら課題を解決するためにシステムを高度化・最適化することである。特に、微小な対象物や観測環境に合わせた音波の送信方式、ソーナーシステムを搭載するプラットフォームの選定、運用方法、データ解析手法については知見が乏しく、実際の観測現場に合わせた対応が必要になることが予見され、本研究において初めて明らかになる部分が殆どである。以上をふまえて、「実海域において海底下の微小埋没物をソーナーシステムによって確実に検知するためにはどのような技術課題が生じるか?またその課題を解決するためにはどのような策を講じることができるのか?」が本研究の核心をなす問いである。その問いに対し、2022年度は以下の研究を実施した。 (1)クローラ・自動計測フレームによるアサリ検出試験(水野・巻)2020,2021年度に計画を前倒して開発したクローラを用いた精度検証を実施した。二枚貝であるアサリの減少が水産上の大きな課題とされている静岡県の浜名湖において、4つの試験サンプル(各6個)を用意し、音響クローラを用いた試験を行った。音響試験後は、実際に貝のサンプリングを実施し、その性能を評価した。 (2)深海域において自動計測フレームを用いた底生生物計測の実施(水野)2021年度に開発した深海用の自動計測フレームを用いて、深海域における底生生物の調査試験(実海域試験)を実施した。深海の生物コロニー周辺において、音響計測を実施し、深海の底生生物を3次元的に調査した。
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