研究課題/領域番号 |
20H02363
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
柳田 保子 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (10282849)
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研究分担者 |
中野 善之 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 研究プラットフォーム運用開発部門, 副主任研究員 (20566103)
三輪 哲也 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 研究プラットフォーム運用開発部門, 調査役 (90272400)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 二酸化炭素 / PDMSマイクロ流路 / 二酸化炭素平衡器 / 海洋現場観測 |
研究実績の概要 |
マイクロ流路デバイス内外の二酸化炭素分圧平衡化を効率よく実現するデバイスの設計条件の検討を、令和3年度に引き続き実施した。ガス交換効率を高め、効率よく大量試作できる流路形状として、50㎝流路を複数個連結させることにより流路長さを変更して検討することとした。50cm流路の流路幅を1㎜へと広くして、流路の間隔もこれまでの流路よりも広くすることにより、シリコーン膜とマイクロ流路が剥がれにくくなり、流路デバイスの面積を1m流路や2m流路よりも小さくできることから、所望の長さのマイクロ流路を効率よく作製できることが分かった。この50cmマイクロ流路を複数個連結させて流路長を変更したところ、50㎝流路単体では不安定であったが、1m、1.5m、2mの場合ではほぼ同等の二酸化炭素平衡化の効率を示すことが明らかとなった。このPDMSマイクロ流路デバイスと、アモルファステフロンチューブによる二酸化炭素平衡器について、ろ過海水とタイ養殖水槽の海水を徐々に混ぜ合わせた海水の二酸化炭素濃度の時間変化を検討したところ、両デバイス共に同様の二酸化炭素濃度変動に応じたpH指示薬の吸光度変化が確認された。これによりPDMSマイクロ流路による二酸化炭素平衡器を海水中の二酸化炭素濃度変動の観測に応用できることが明らかとなった。また、二酸化炭素平衡器への生物付着抑制のためのデバイス表面処理法として、PDMSマイクロ流路の表面へ銅薄膜を作製することについて試みたが、軽微な衝撃で容易にはがれてしまうことが明らかとなった。紫外線LEDの定時点灯法については、これまでにアモルファステフロンチューブで検討して生物付着抑制が図られることが分かっていることから、PDMS流路への紫外線LEDの点灯が有効ではないかと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで試作をしてきたPDMSマイクロ流路デバイスよりも流路幅の広い50cm流路を複数個連結させることにより、所望の流路長さを有するPDMSマイクロ流路デバイスを容易に大量試作可能となることが明らかとなり、マイクロ流路デバイス内外の二酸化炭素分圧平衡化を効率よく実現するデバイスの設計ならびに製作条件の検討について一定の成果を得られた。製作したPDMSマイクロ流路による二酸化炭素平衡器は、従来使用されてきたアモルファステフロンチューブと比較してほぼ同等の二酸化炭素交換効率と安定性を有することが示された。またPDMSマイクロ流路による二酸化炭素平衡器への生物付着抑制のための方策として、表面への銅薄膜作製は不適応である可能性が示された。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに検討してきたPDMSマイクロ流路内外の二酸化炭素分圧平衡化を効率よく実現するデバイスの設計条件を用いてプロトタイプを量産し、海洋現場での観測の機会を増やして海水中の二酸化炭素濃度の長期観測に適した流路保持形状を決定する。海洋現場の模擬環境としてろ過海水や養殖水槽の海水を用いて、二酸化炭素濃度変動計測を習熟するとともに、二酸化炭素以外の海水成分の観測について検討を開始する。
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