研究課題/領域番号 |
20H02364
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
井上 順広 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (80251677)
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研究分担者 |
広瀬 正尚 鳥羽商船高等専門学校, その他部局等, 助教 (50824207)
渡邊 和英 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), 国際海洋政策研究センター, 准教授 (90811000)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 低GWP / ミニチャンネル / 細径 / 熱交換器 / 排熱回収 / 凝縮 / 蒸発 / 伝熱性能 |
研究実績の概要 |
本研究は、船舶搭載機器のみならず民生用エネルギー消費の6割を占める冷凍空調・暖房給湯需要の高効率・省エネ化にも応用できる新規に開発された高温用作動媒体であるR1233zd、R1234ze、R1336mzz、R1224ydおよびそれら混合作動媒体のミニチャンネル熱交換器内の凝縮・蒸発伝熱特性および圧力損失、流動様式などの基礎特性を把握し、流路構成・形状の最適化の指針を得ることを目的としている。 研究初年度である2020年度は、R245faやR245faを主成分とするR245fa/R134およびR245fa/R1234ze(E)混合作動媒体の平滑管・各種溝付管の凝縮・蒸発伝熱特性および圧力損失を基準値として、それらの代替候補である次世代低GWP作動媒体R1233zd、R1234ze、R1336mzz、R1224ydおよびそれら混合作動媒体の従来径管における凝縮・蒸発伝熱特性および圧力損失などの基礎特性の把握を行った。また、並列してミニチャンネルの流路構成・形状の試作を行い、水熱源・R32による加熱実験を行った。主な研究内容と実績を以下に示す。 (1)新規試験熱交換器(従来径管・ミニチャンネル)の設置、実験装置・測定系の改良・制作。(2)文献収集・整理およびまとめ (3)熱電対・測温抵抗体・流量計・組成分析等の検定/予備実験 (4)水熱源・R32による加熱実験、解析および考察(5)公表論文等の作成・発表 (分担者1)東京海洋大学で実施したマイクロチャンネル熱交換器の実験結果と条件を元に数値計算による数値解析結果との比較検証を行い、数値解析手法の検討および冷媒種を変更した場合の実験条件の検討を実施した。 (分担者2)比較基準の従来径管の混合冷媒の凝縮および従来径管の凝縮に関する整理式の提案を行った。また、2021年度の国際会議での発表に向け、混合冷媒の凝縮に関して解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の状況となり、当初予定のミニチャンネル実験装置の改良・実験が思うように進められなかったが、それらとの比較基準となるよう前半は従来管径で測定したデータの解析・考察により、論文等の作成を行った。その後、装置の改良を行い、ミニチャンネルによる水熱源・R32による加熱実験、解析および考察を行った。 当初予定では、研究代表者機関の実験装置を使用して研究を行うことを想定していたが、後期に入ってもコロナ禍により予定していた分担者との往来はできず、今後も見通せないことからそれぞれの分担者組織で実験装置を作成して研究を進めるよう計画を変更して対応することとした。 (分担者1)年度当初からコロナの影響により県外への往来ができず、東京海洋大学の実験装置を使用した研究が進められなかったため、海上保安大学校でも研究を遂行できる数値解析を行い、これまでに取得している実験結果の検証および今後の実験条件の検討を進めた。また、数値解析結果の精度を高めるために水単相実験が必要となることから、それら実験装置を製作するための機器等の検討・購入を行った。 (分担者2)コロナ禍で移動への制約から、鳥羽商船高等専門学校において、比較基準となる従来径管や単管ミニチャンネル実験装置を作製している。また、比較基準となる従来径管について凝縮に関して解析を進め、整理式を作成し日本冷凍空調学会の論文投稿を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、次世代低GWP 作動媒体R1233zd、R1234ze、R1336mzz、R1224yd およびその混合作動媒体の蒸発・圧力損失・流動様式データの取得を行う。 (1)R1233zd、R1234ze、R1336mzz、R1224yd および混合作動媒体による実験の設定各種パラメータ・実験条件の検討 (2)各種実験条件による実験 (3)再現性の確認実験 (4)実験データの解析/考察・公表論文等の作成・発表 (5)2021年度総括および科学研究費補助金実施状況報告書の作成 (6)国際会議(ISMT2021)において講演を予定している。 (分担者1)数値解析による各種冷媒ごとの実験条件の検討結果を整理するとともに、数値解析結果の精度向上のための水単相実験を実施。実験条件は必要があれば再検討を行う。各種冷媒ごとの実験データの取得後はデータ解析・考察等の補助を行う。また、国際会議(HFO2021)において講演を予定している。 (分担者2)比較用の従来径管の実験装置の製作を進める。装置の完成とともに、実験装置の健全性確認(凝縮実験における再現性確認)と従来径管の蒸発実験を行う。R32のような普及冷媒でまずは実験を行い、データ取得方法の確立をする。データ解析については混合冷媒のデータを用いて整理式の作成を進める。また、国際会議(HFO2021)において講演を予定している。
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