研究実績の概要 |
1.走錨時には,船は大きな斜航角をとりながら流される。その時の船に作用する流体力特性を把握するため,広島大学の水槽試験においては,大斜航時CMTならびに舵角試験を実施した。 2.船の流体力モデルに独自のテーブルモデル(1.で実施した水槽試験結果を使用),風のモデルに藤原のモデル[1],波モデルに波漂流力を考慮した低周波数運動でモデル(操縦運動)をベースに,高周波数成分である波浪動揺を取り扱うtwo-time scale method[2]による新しい浮体の漂流モデルを開発した。開発された運動シミュレーション計算法による走錨時に流される船の運動の計算結果は,初年度に実施した風波中を流される船の運動と水槽試験結果と実用上の精度で一致することが分かった。 3.2.で開発した運動モデルを簡略化し,そのときに得られる運動方程式を線形化して,漂流する船の運動安定性の理論解析を行った。これにより,走錨が発生し,船が流されるときの船は真横状態で流されることが分かった。この状態が力学的に安定であることを理論的に明らかにした。 [1] Fujiawa, T., Ueno, M. and Ikeda, Y. (2005): A new estimation method of wind forces and moments acting on ships on the basis of physical component models, J. Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers, Vol.2, 243-255. [2] 安川宏紀,旋回する船の波浪動揺シミュレーション,日本船舶海洋工学会論文集 第4号, 2006年, 117-126.
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