研究課題/領域番号 |
20H02371
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
濱田 邦裕 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (40294540)
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研究分担者 |
満行 泰河 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40741335)
和中 真之介 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (50846863)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 船舶設計システム / 価値連鎖 / 海事クラスタ / 設計支援 / 需要予測 |
研究実績の概要 |
本研究では,船舶の性能向上や長寿命化,コストダウンなどが,船舶の運用に与える影響を定量的に検討できるシステム環境を開発し,海事クラスタ全体の価値連鎖を考慮して船舶性能向上の方向性を検討するための新たな設計支援の枠組を提案する.本研究のシステムは以下の3つのモデルによって構成される. 1)船舶開発オプションのモデル化:造船における様々な技術開発の方向性を開発オプションとしてモデル化する.これらの組み合わせにより,船舶開発の方向性を定義する. 2)ルール制約のモデル化:ルールは船舶の性能や運用に大きな影響を与える.例えば船体構造の大幅な軽量化のためにはCSR(Common Structure Rule)の見直しが必要であり,またハル・モニタリングシステムが効果を発揮するためにはフレキシブルな検査ルールが必要となる.これらのルール制約をモデル化し,ルール改定により船舶開発オプションの効果が変化するものと考える. 3)船舶運用モデルの定義:船社の意思決定(フリート整備戦略や配船など)をモデル化し,上記1)で新たな船舶が実用化された場合,その需要や運用を予測するモデルを定義する.この際に上記2)のルール制約による運用の相違も考慮する.この運用予測に基づき,船舶のライフサイクル価値を定量化する. 2020年度の研究では,造船所・船社・船級関係者へのヒアリングを行い,船舶開発オプションのモデル,ルール制約のモデルおよび船舶運用モデルの基本構成について検討した.2021年度の研究では2020年度の研究成果に基づき,船舶開発オプションのモデル,ルール制約のモデルおよび船舶運用モデルをシステム上に実装し,船舶開発戦略検討支援システムの第一次プロトタイプを開発した.さらに,海事クラスタ関係者へのデモンストレーションを行い,開発したシステムの妥当性と改善点について検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の研究実績は,交付申請書に記載した研究実施計画と合致するものであり,当初の計画通り順調に進展していると判断する.コロナ禍ではあるが,WEB会議等を活用することにより,研究分担者との研究打ち合わせや情報共有を円滑に行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度までの研究により,船舶開発オプションのモデル,ルール制約のモデルおよび船舶運用モデルをシステム上に実装し,船舶開発戦略検討支援システムの第一次プロトタイプを開発した.しかし,船舶開発オプションやルール制約のモデルは現状のものであった. 2022年度は将来に向けたシミュレーションの実施のために,IMOのGHG削減戦略等を踏まえ,アンモニア燃料船などの新形式船や,炭素課金等の今後想定される制約をシステム上で表現し,将来に向けた開発戦略を検討できるようにシステムを拡張する.なお既に開発上の要点となる部分について試験的な実装を行い課題等を明確化しているため,2022年度も研究は円滑に推進できると考えている.
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