研究課題/領域番号 |
20H02376
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
二瓶 泰範 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00470055)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 船舶海洋流体力学 |
研究実績の概要 |
本年度は以下の3点のことを行った。 まず1つ目は、Velocity Prediction Programの構築である。1/3船体模型で斜航試験、1/3セール模型で風洞実験を行った。風洞試験では後翼を前翼に対し20[deg]の角度をつけ、かつ迎角30[deg]のとき揚力係数1.06と最大になり、後翼の角度が0[deg] かつ迎角30[deg]の場合の1.4倍となることがわかった。これにより今回提案したセール形状でもフラップ機能が有用であることを示せた。この実験結果と鶴見が行った船体及び上部デッキの空気抵抗の実験結果を用いてVelocity Prediction Programを構築した。これにより高さ2[m]、翼弦長1[m]のセールを備え付けることで風速3.5[m/s]のとき現在の四胴型自動航行船の8.5割程度の船速になり、また風上方向速度は60[deg]、風上方向速度は170[deg]へ向かうとき最大になることがわかった。 次に2つ目は、セールの制御方法の考案である。セールの制御は、セールの伸縮の制御、後翼の角度をつける方向の制御、セールの迎角制御に大別できる。セールの伸縮は船体の傾斜角に応じてセールの高さをPID制御する。10[m/s]の突風が吹き船体が5[deg] 傾斜しても6[s]程度で±1.5[deg]の範囲に傾斜に抑えることができることを数値計算で確認した。後翼の角度をつける方向の制御、及びセールの迎角の制御は風向計を用いて行う。前者は風向が左舷側か右舷側かによって前翼に対して角度をつける方向を決定し、後者は風向に対して揚力係数が最大となる迎角が30[deg]になるように制御する。 3つ目は、セールの製作である。まず1/2セール模型を製作し組み立てや強度に問題がないか、セールの伸縮等の動きがスムーズに行えるか確認した。実機セールはFRPで製作した。通常FRPは金型を作り、それを用いて任意の形状のFRPを製作するが、本研究では型を3Dプリンターで製作する方法を考案し低価格で翼形状のFRPを製作することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
船体とセールの1/3模型を用いた実験から得られた流体力からVelocity Prediction Programを構築したことに加え、風洞試験によって得られたセール性能から相対風向に応じた適切なセールの制御方法を考案するなど昨年度に予定していたことを遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は製作したセールを備え付けたトリマランヨットを用いて実海域で実験を行う。まず、船をクローズホールド(風上に向かって)、アビーム(風向に対して直角に)、ランニング(風下方向に向かって)へ定常航行させ、その際に得られる船速データから構築したVelocity Prediction Programの妥当性の検証や、考案したセール制御方法が適切かの調査を行う。また、二瓶らによって開発された自動航行船は事前に与えた経路を辿っていくようにプログラムされているが、航行時の風向に合わせて最も効率的な経路にリアルタイムで書き換えるプログラムを作成し、効率的なタッキング・ジャイビングを行えるようにする技術の構築を目指す。これらに加えセールの各部材に作用する荷重を計測し、これをソフトから得られる翼性能と結び付け、今後より揚力を得られるセール形状を検討する際に各部材にどの程度の荷重が作用するかを計算できるような設計ツールの開発を行う。
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