研究課題/領域番号 |
20H02379
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
川島 英幹 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (20450679)
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研究分担者 |
辻 義之 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00252255)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 乱流境界層 / 流場制御 / 音響流 / 電極型剪断力計測器 / 乱流抑制 / 抵抗低減 |
研究実績の概要 |
乱流境界層内の流場を制御することで抵抗低減を図ることを目的として、電極型剪断力計測器と音響流放射型流場制御デバイスとを組み合わせた能動型乱流場抑制制御システムを開発している。本年度は、流場制御システムに適した音響流放射型流場制御デバイスと電極型剪断力計測器の開発を行った。 音響流放射型流場制御デバイスはについては、当初、圧電材料を複合材料にして弾性表面波の音速を制御した試験体を製作し、基本特性の計測や流動試験を行った。複合材料型のデバイスは音速の制御による音響流放射角の制御という点では優れているが、ステンレスとPVDF樹脂、樹脂とニオブ酸リチウム結晶など、性状の大きく異なる物質を組み合わせて複合化しているため、実験中の破損や経時変化による性質の変化が問題となった。そこで、単一の圧電材料で、水の音速に近い表面波音速をもつ物質について調査し、BGOとBSOの2種が候補となった。BGO、BSOともに音響波を発生させるデバイスとしての先行研究例が皆無のため、理論面から有望と思われる結晶の方向を複数種類選定して、試験体を試作した。またPIVにより、流場制御の計測を行う準備として、特性のわかっているニオブ酸リチウム試験体による音響流放射デバイスを製作し、PIV計測の実験環境を整えた。その際、通常使用されている双方向回路だけで無く、流場制御デバイスには必須となる単方向型回路のデバイスも試作し、単方向性の強い音響流が放射されることをPIV計測により確認した。 電極型剪断力計測器は、流場制御デバイスとの組み合わせがしやすいフィルム型計測器の試作を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、予定していた複合材料型圧電材料を用いた音響流放射デバイスは、現状では耐久性の点で課題が有ることが判ったため、単一材料を用いたデバイスの試作をすることになった。水に近い音速の特性を持つBGO、BSOを圧電材料として選定したが、音響流を放射するデバイスとしての研究例がなく、結晶の方向なども、理論面から検討する必要があり、試行錯誤の結果、試作デバイスの製作に時間がかかってしまったが、最終的には良好な基本特性を持つデバイスを得ることができた。また回路についても、通常用いられている双方向型に対して、単方向型を採用し、PIVにより単方向性の強い音響流を放射できることを確認できた。また電翼型剪断力計についても試行錯誤はあるが進んでいる。申請書での計画に対しては、やや遅れているが、先行研究例の無い領域の開発であることを考えれば、順調に進んでいると認識している。
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今後の研究の推進方策 |
BGOを圧電材料とした音響流放射型流場制御デバイスの放射する音響流の造る流場をPIVにより計測し、その特性を調査する。乱流境界層中において音響流を放射させ、境界層内の流れと音響流の干渉現象をPIV計測により詳細に調査する。塩水等の導電性のある液中で、櫛歯回路間の通電を防ぐため、デバイスをコーティングする方法を検討する。 乱流境界層内の乱流による速度変動により物体表面上に発生する剪断力の変動を計測できる電極型剪断力計測器の開発を進める。 能動型乱流場抑制制御システムとして、乱流による速度変動の抑制制御による抵抗低減を実現できる電極型剪断力計測器と音響流放射型流場制御デバイスの組み合わせ方法や位置関係、制御ロジックについて検討する。その検討結果を基に、電極型剪断力計測器と音響流放射型流場制御デバイスを組み合わせた乱流場抑制制御システムの試作システムを設計・製作する。 試作した電極型剪断力計測器により、乱流境界層内の剪断力の時間変動を計測する。続いて、流場制御デバイスから周期的に音響流を放射させ、壁面での剪断応力がどのように変動するか計測する。さらに乱流境界層内において、音響流放射型流場制御デバイスから音響流を周期的に放射させて、流路壁面での剪断力の変動と音響流放射型流場制御デバイスに加わる抵抗の変動を計測する。計測結果から剪断力の変動と音響流放射の関係を解析し、抵抗低減を図れる制御ロジックを検討する。試作システムに導き出された制御ロジックを適用し、抵抗低減を可能とする制御パラメータを探索する。 また剪断力を計測し、音響流により流場を制御する状態でのPIV計測を実施し、制御ロジックと流場の変化、抵抗の変化の関係を解明する。
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